「重鎮感を前面に出して軽い進次郎氏に対抗」
毎日新聞が8月24、25日に実施した世論調査では、「次の立憲民主党代表に選ばれてほしい人」という質問に対して、野田氏が27%で首位、枝野氏が14%で次点、泉氏が7%で3位となったが、立憲支持層に対象を絞ると1位は枝野氏37%となり逆転、野田氏は32%となった。
党員票の結果が重要となる第1回投票をトップで通過するか否かは決戦投票での投票行動にも影響を与える。
吉田氏は政見で「原発ゼロ」を明記するなどリベラル寄りの政策発信が多く、枝野氏の票を吸収するとみられることから、野田氏は立候補を手助けしたわけだ。
このようなドロドロの権力闘争が繰り広げられている立憲代表選だが、最終的には誰が代表の座に就くことになるのか。
立憲内では野田氏を本命視する声が多い。
立憲のベテラン議員の1人は「自民党総裁選で小泉進次郎氏が勢いを増しており、憲政史上最も若い進次郎総理が誕生する可能性がある。それに対して立憲代表が枝野氏に先祖返りしてしまっては、一気に求心力が低下するだろう。一方で、首相経験者の野田氏となれば、逆に重鎮感を前面に出して軽い進次郎氏に対抗できるのではないか」と語る。
「政界の壊し屋」が起こした“珍事件”
確かに、自民党内からも「立憲代表が野田氏になったら、進次郎氏をそこにぶつけるのは危ないのではないか。刷新感と重鎮感、どちらが国民にウケるかは怪しい」(ベテラン秘書)という声が挙がっている。
ただ、野田氏も決して評判が良いわけではない。
野田氏が首相を務めた2012年には消費税増税のための三党合意を自民党や公明党と行い、同年の衆院選で大敗。自民党に政権交代を許した。
このときの禍根は、今の立憲民主党の中にも残る。
実は、野田氏への支援をめぐっては、立憲最重鎮である小沢一郎氏が側近を絶縁するという珍事件も起きた。
小沢氏が率いるグループ「一清会」は9月2日に野田氏を応援することを決めたが、グループで会長代行を務め、取りまとめ役を担ってきた牧義夫衆院議員は強く反対した。
牧氏は2012年当時、消費税増税に反対し、厚生労働副大臣を辞任。増税の法案採決に反対票を投じて民主党に離党届を提出するも、受理されずに除籍処分となった。
さらに、衆院選では野田氏に刺客を立てられ、落選の憂き目に遭っている。
牧氏は「野田氏を応援するなんて地元の支援者に説明できない」と抗ったが受け入れられず、小沢氏からは絶縁されてしまったという。