エコシステムが崩壊し、負の側面が拡大
SNSはディストピア化している。考えが近い人と出会う素敵な空間ではもはやなく、用心して歩かないとうっかり地雷を踏んでしまいかねない、戦場のようになってしまった。
2010年代のSNSは、インターネットを双方向の場にしてあちこちにコミュニティを育むための格好の装置だった。私がそうだったように、興味関心や趣味嗜好が近い人同士で「つながり」を生むツールだった。
だがここへ来て、負の側面がぐんぐんふくらんでいる。誰とでもつながれることは、誰からでもつけこまれることだった。生成AIの進化が、つけこみ方まで進化させてしまった。
SNSが情報収集ツールとして機能しなくなり、使う頻度が大きく減ったり、中には退場する人が続出することは、インターネットでこの10年起こったさまざまなビジネスやシステムをゼロに戻してしまうことだ。
SNSのディストピア化はもう止められない
その最たる存在が、メディアではないだろうか。
記事を公開したら、それがXやFacebookでどれだけ広がるかでPV数が決まる。そのどちらも利用者が減れば、当然PV数も減るだろう。
この記事も、どれだけ共感される内容だとしても、共感される場が失われれば元も子もない。森の中で木が倒れても、誰にも聞こえなければその音はしなかったことになってしまう。SNSの衰退は、あらゆる森から人々がいなくなることだ。
対策はあるはずで、総務省の有識者会議「デジタル空間における情報流通の健全性確保のあり方に関する検討会」で昨年の11月から議論されてきた。それはもちろん、貴重な会議だと思うが、私はSNSのディストピア化は止められないと思う。
詐欺広告やインプレゾンビの出元は、どうやらほとんどが遠い国の人々にあるらしい。もはや国単位での対策では防ぎようがないだろう。
SNS抜きでメディアのエコシステムを考えるべき時代が来たのだと思う。どうするべきか、考えを巡らせていきたい。