詐欺広告を報告しても「問題なかった」
今年に入って、SNS上で著名人になりすました詐欺広告が横行し、社会問題として浮上した。被害規模は数百億円にのぼり、特にネットに不慣れな中高年が狙われた。著名人の写真とともに投資へ誘うメッセージを巧妙に載せて、まんまと騙された人々から多額の金を巻き上げた。
政治家も問題視し、Facebookを運営するメタ社の担当者が自民党の会合に呼び出されて対応を求められた。「広告停止」を求める議員もいたそうだ。
なりすまし詐欺広告は今年の春には1日何件も見かけた。私はFacebookに何度も「報告」したが、「調べたが問題なかった」との回答が来て腹を立てたものだ。
だが自民党に怒られたら本気出したのか、いつの間にか見なくなった。それなのに、今度はニセアイコン広告だ。メタ社は反省していないのではないか。怖いお父さんに叱られたら悪さはやめるけど、別の悪さを編み出してまた始める。タチの悪いいたずら坊主だ。
いや、そんな可愛らしい言い方では済まない。またおかしな怪しい広告が私のタイムラインに出没している。
既婚者向けマッチングアプリの広告も登場
もともとFacebookは少額でも代理店を通さずにターゲティング広告を展開できるので、無名のベンチャー企業の広告が多かった。だが、最近見かけるのは本当に企業が展開しているのか疑いたくなる広告だ。うっかり押すとまた、おかしな投資に誘い込まれるのではないかと思ってしまう広告が頻繁に出てくる。
怪しい広告と無名のベンチャー企業の広告の見分けは難しいが、怪しい広告にはどこかいかがわしさが滲むのだ。あからさまに怪しかったのが「既婚者クラブ」という名の出会い系らしき広告だ。どうやら「国内最大級の既婚者向けマッチングアプリ」らしい。
そもそも不倫を助長するようなサービスを堂々と宣伝する時点でいかがわしいが、そんな不謹慎な出会い系アプリはその裏にさらに反社会的な存在、例えば投資詐欺が潜んでいる可能性を感じてしまう。
さらに最近は、特定の年代や趣味を対象にしたグループやアカウントを頻繁に見かけるようになった。私の世代だと、昭和を懐かしむFacebookグループをよく見かける。「昭和へ○○○」「○○○な昭和」などのタイトルで、何だか妙に怪しいのだ。
そこで「昭和の○○○の表示を見えなくする」操作をすると、新たに「○○○な昭和」が表示されてしまい、いたちごっこに陥る。