「世界幸福度ランキング」で日本は51位だが…
ネットで「幸福度」と検索すると、世界幸福度ランキングが上位に出てきて、日本の順位があまり高くないという解説があったりする。
実際、最新の2024年版を見ると、1位はフィンランド、2位はデンマーク、3位はアイスランド、4位がスウェーデン、と北欧の国が並び、日本は51位となっている。
この世界幸福度ランキングは、国連が2012年から発表しているもので、自分の幸福度について最低を0、最高を10として回答してもらう主観的幸福度の国別の平均値をランキングにしたものだ。
そして、主観的とは個々人がどう感じているかということであり、その傾向は当然、その社会の構造や価値観、人種構成等の影響を受ける。その結果、1位のフィンランドは10点満点で7.74、日本は6.06とものすごく大きな差がある。
このことを考えれば、国別の幸福度の比較をことさら気にする必要はないだろう。
人生全体で見ると幸福度はU字カーブを描く
幸福度が主観的なものだとしても、当然、周りの他人との比較といった要素は含まれる。そして、幸福度を年齢別に集計してみると年齢によって大きく変化していることがわかる。
図表1は、筆者が企画、設計、分析を担当している「いい部屋ネット 街の住みここちランキング」の2019年から2024年の6年分の回答者(92万3456名)の個票データ(以下、「住みここちランキングデータ」という)から、男女の年齢別の主観的幸福度(最低1、最大10)を集計したものである。
男性の幸福度は20歳時点の6.68から一貫して緩やかに低下し、48歳時点の6.11で最低になる。その後、上昇に転じて60歳以降は急上昇し64歳で20歳時点の幸福度を超え、その後も上昇し続ける。
女性の幸福度は男性とは少し傾向が異なり、20歳時点の幸福度は6.68と男性と同じだが、26歳以降30歳頃にかけて一度上昇し、その後下降に転じ、49歳時点の6.48で最低になる。その後は、男性と同様に上昇に転じ、59歳時点で20歳時点の幸福度を超え、その後も上昇し続ける。
こうした傾向は、2010年に発刊された『日本の幸福度』(大竹文雄・白石小百合・筒井義郎)でも「年齢と幸福度との関係に関しては、加齢とともにU字型を描くとする研究が大半である(p.24)」とあるように、先行研究とも整合的である。