都民の無関心で利権構造は続く
もっとも、都知事選が茶番と言える点はほかにある。政策論争が存在せず、都民もそれを良しとしている点だ。
私は1995年の都知事選に出馬した。マッキンゼーを辞めて退職金代わりにチームをもらい、1年かけて都の政策を練り上げて臨んだが、『意地悪ばあさん』で有名なタレント候補の青島幸男氏に大差で敗れた。青島氏は世界都市博覧会開催など都のいくつかの政策について「ちゃぶ台をひっくり返す」と言っただけ。政策らしい政策はなかったが、都民はキャッチーなフレーズと抜群の知名度で選挙を戦う青島氏を選んだ。政策論争は有権者に響かない現実を目の当たりにして私には出番がないと察した。『大前研一敗戦記』(文藝春秋)を出版したのは私なりの政治から足を洗う“辞世の句”であった。
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