摩訶不思議な「公職選挙法ワールド」
7月7日に東京都知事選挙が終了し、小池百合子東京都知事が貫録勝ちという結果になった。今回の東京都知事選挙はショート動画やSNSを用いた初の本格的な首長選挙となった。その影で、もう一つのテーマとして「公職選挙法」の在り方が話題として挙がっている。
公職選挙法は複雑怪奇であり、そして摩訶不思議な法解釈が横行している。まさに知る人ぞ知る閉ざされた世界だ。そのため、普通の感覚を持った人が各立候補者の活動を見ると、「これは公職選挙法に違反しているのでは?」と疑問を持ってしまうのも無理はない。また、全く公職選挙法を知らない人が選挙に立候補しようとすると、意味不明な公選法文言や解釈に立ち往生してしまい、ほとんど何ら有効な活動を行うことができず、そのまま投票日を迎えることになってしまうことにもなる。
公職選挙法はグレーな裏ワザを知っているもん勝ちであり、このような不公正なルールに基づいて選挙が行われている状況は極めて問題である(選挙を行うたびにポスター代の公費負担などの巨額の税金も投入されている)。
そのため、今回の論稿では、東京都知事選挙を通じて多くの人が疑問に思った点を解説し、その公職選挙法の改正ポイントを提案する。
ポイント① 「選挙運動」と「政治活動」が分かれている
第一の摩訶不思議ポイントは、公職選挙法上、「選挙運動」と「政治活動」が分かれているということだ。
選挙期間とは公示日から投票日までの期間のことで、この選挙期間中には通常の政治活動期間中には禁じられている「選挙運動に当たる行為」が解禁される。
とは言うものの、多くの読者諸氏にとっては。この時点で選挙運動と政治活動の違いについて「???」が脳内に発生しているはずだ。それは極めて自然なことであり、あなたが極めて正常な感覚を持った人であることを保証する。
選挙運動を端的に定義すると、「○○選挙で、○○候補に、一票入れてほしい」と主張することを言う。そのため、選挙運動期間以外の政治活動しかできない間は、この3要件が揃う主張、文書、SNS上の情報発信などを行ってはならない。仮に3要件を含むビラを選挙期間前に配布すると、事前運動に当たると判断されて「文書違反」として摘発されることになる。