期間中に正式に配布できるビラは限られている
選挙期間中に候補者事務所本体が正式に配布できる選挙運動ビラは、選管から交付される「証紙」と呼ばれるシールをスタッフが一枚一枚貼り付けたビラのみとされている。この証紙を選挙運動ビラに手作業で貼り付ける作業も発狂しそうな膨大なゴミ作業だ。ただし、この作業には資金力がある陣営に一方的に有利にならないように証紙の数量範囲内に選挙運動ビラの枚数を制限するという建前がある(この選挙運動ビラには候補者氏名、写真、「一票入れてください」、が記載できる)。
ところが、前述の確認団体ビラは、ほぼ予算が許す限り印刷して新聞折り込み等を行うことができる。資金力があれば、確認団体ビラを使って無尽蔵に活動を拡大することが可能だ。そのため、もはや何のために証紙付の選挙運動ビラの枚数を制限しているかすらさっぱり分からない。
おまけに、確認団体が実施するSNS上の広告には候補者の氏名・写真は使用できないが、その広告をクリックした先のランディングページ等にはそれらを使用しても良い等、もはや理解しがたい業界ルールも暗黙の了解で決まっている。常人には全く意味が分からないが、そういうものなのだからそういうものなのだ。
ポイント③ 選挙期間中でも「書籍の販売」が可能
第三に、選挙期間中であっても書籍を販売することが可能である。
選挙期間中に候補者や確認団体が配布できるビラには上述の通り制限が加えられるが、選挙期間直前や選挙期間中に発売した書籍を選挙区内の本屋に平積みさせることは直ちに違法にはならない。その行為自体は出版社や本屋の経済活動の一環であるため、「○○候補」などを明示して販売しない限り(または出版社や本屋がこれは○○候補の選挙運動だと明言する愚かな行為をしない限り)は、公職選挙法に明確に抵触するとは断定できない。合法・違法は総合的な判断によって行われるというあやふやな基準があるだけだ。
したがって、選挙投票日などが予測可能な選挙の場合、その直前や選挙期間中に狙いを定めて出版物を発行する行為は、公職選挙法上はグレーなものとしてスルーされることになる。