「インターネット」と「宇宙」の共通点

もう1つ例を挙げておこう。

だいぶ前のことになるが、2005年のライブドア時代に、私は同人作品、ゲーム、コミック、音声作品などのコンテンツを販売する二次元総合ダウンロードショップ「DLsite(ディーエルサイト)」を運営するエイシス社を買収した。買収額は20億円ほどだったが、今の売り上げは250億円にもなる。

DLsiteの主な商品は「エロ」や「パロディ」を扱う同人誌であり、それをネットで販売する。要はネット上でコミケをやっているわけだ。私はこういう会社があることをまったく知らなかった。当時、ライブドアにいたオタクっぽい社員が見つけてきたのだ。

かつて、いわば「日陰者」だったオタクたちは、インターネットの民主化と共に、思いもよらないビジネスの種をまいてきた。

インターネットの民主化と宇宙の民主化が相似形を成すというのは、本章でも繰り返し述べてきたことだ。ならば、宇宙ビジネスにおいても、オタクパワーが、何か凡人には思いつかないような発想をもたらしてくれるのではないか。

「思いついたら動く」が何よりも大事

今や大企業に入社して実績を積み重ね、信用を得ていくという時代ではなくなっている。中学生でも高校生でもいい。斬新な発想で新たなビジネスアイデアを生み出し、実現することこそ、今、求められている。

大事なことは「思いついたら動く」、その一点に尽きる。

本当にいいアイデアだったら、クラウドファンディングで多くの支持者が集まり、資金調達できるはずだ。資金が集まらなくても、がっかりすることはない。実行に移す前に、「このアイデアは多くの人に支持されるものではなかった」とわかったことが財産だ。時間、労力、お金をつぎ込む前に立ち止まることができる。

先述のISTでも、MOMO初号機から5号機まではクラウドファンディングで打ち上げ費用をまかなった。6号機、7号機のMOMOにはスポンサー企業のロゴや謳い文句をプリントした。

手の上の小さなロケット
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