財団トップやビル・ゲイツ氏の元妻が支持表明

有力者の中で、最初にハリス氏への支持を表明したのは「オープン・ソサエティー財団(OSF)」トップのアレックス・ソロス氏だ。父ジョージ・ソロス氏は長年民主党支持の慈善家として知られ、今年も自身のスーパーPACから、日本円で20億円以上を民主党候補に寄付している。

ちなみにスーパーPACとは、日本語に訳すと「特別政治活動委員会」。アメリカでは企業が直接政党や政治家へ献金することは禁じられているため、PACという団体を通じて献金している。献金の上限がないスーパーPACは、特定の政治家に紐づかないことが原則だ。しかしそれも表向きで、無尽蔵のお金が有力候補の選挙運動に流れ込む仕組みになっている。

ソロス氏に続いて支持表明したのは、メリンダ・フレンチ・ゲイツ氏。ビル・ゲイツ氏の元妻で、保有資産は1兆7000億円といわれる。彼女が特定の大統領候補への支持を公言するのはバイデン氏が初めてだったが、候補者交代で改めてハリス氏を推薦したことで、大きなニュースになった。

「最高裁や州議会が女性の中絶の権利を取り上げようとする中、カマラは全米を駆け巡り、女性の人権を訴えてきました。また有給休暇、育児、高齢者介護などを、誰もがより安く利用することができるよう戦っている」

そうコメントし、ハリス氏が大統領になることがアメリカ人にとってどれほど重要かを訴えた。

ネトフリ創業者、ジョージ・クルーニー、ビヨンセも

続いて支持を表明したのは、ネットフリックス共同創業者のリード・ヘイスティングス氏。ハリス氏を支援するスーパーPACに11億円相当を寄付した。

そのほか、世界で最も知られる独立系投資銀行アドバイザリー会社「エバーコア」の創業者、ロジャー・アルトマン氏や、ビジネス系SNS大手「リンクトイン」の創業者で会長レイド・ホフマン氏らも支持を表明している。また彼を含め、シリコンバレーの100人以上の投資家も、「VCforKamala」のキャッチフレーズで、カマラへのサポートを約束する文書を発表している。

ビジネス界だけでなく、ハリウッドも動き始めた。民主党の資金集めにも大きく貢献しているジョージ・クルーニー氏は、バイデン氏が撤退表明するやいちはやくハリス支持の立場を明らかにした。スーパースターのビヨンセも、自身の楽曲「フリーダム」をハリス氏が集会の登場曲として使用することを許可し、暗に支持を示している。

さらに、チャーリー・XCXとオリビア・ロドリゴという、Z世代に絶大な人気を誇る2人のアーティストもハリス支持を宣言。高齢のバイデン氏は若い世代には絶望的に不人気だったが、こうした若いインフルエンサーは若者の投票意欲を掻き立てるだけでなく、草の根の寄付金活動の大きな力となるはずだ。