所得税がゼロで規制が少ない
規制の多いカリフォルニアを嫌いテキサスに引っ越す企業はテスラだけではない。クラウド大手のオラクルやパソコン大手のヒューレットパッカード、金融大手のチャールズ・シュワブなどもテキサスに本社を移している。
なぜか。ジェトロ(日本貿易振興機構)によれば、テキサス州では法人所得税と個人所得税がゼロ、電力料金や土地・不動産価格が低廉、ビジネスに対する規制や土地の利用制限の少なさ、豊富で優秀な労働力などにより、事業経費が節約できることが大きいという。
中国企業の影響も目立つ
最も大きな理由は、テキサス州の都市部がスゴイからだ。
沿岸のヒューストンは「世界のエネルギー首都」と呼ばれている。内陸のサンアントニオは軍事産業と先端製造業が集まっている。ほか、ここまで何度も取り上げた州都オースティンや、製造からサービス、本社機能までなんでも揃う内陸ダラスを加えた「4大都市」が企業と人を吸い寄せ続けている。
こうした中、米旅客鉄道大手のアムトラックは、約380kmの距離があるダラスとヒューストン間を90分で結ぶ「テキサス新幹線」計画を復活させた。これは、日本のJR東海とも提携するテキサス・セントラルが推進する事業で、建設に必要な用地の30%も取得済みだ。
カリフォルニアは中国と米国の貿易摩擦により海運・港湾・運輸などの貨物取扱量が減少している。一方テキサスでは、メキシコ現地生産で米国の高関税を回避しようとする中国企業が、メキシコから陸路でテキサスまで大量の商品を送り込んでおり、中継地として活況を呈している。