「カリフォルニアの地位低下」が目立っている

目下、カリフォルニアの経済的地位の低下が目立っている。

2024~28年の全米GDP成長におけるカリフォルニア州の割合は、2015~19年と比較して顕著に減少する見込みだと、米商務省経済分析局と英調査企業のオックスフォード・エコノミクスの推計は示唆している。

一方、近年猛烈な伸びを見せているのがテキサス州だ。

アメリカ南部のテキサス州について、日本人がパッと思い浮かべる定番イメージというと、「カウボーイとロデオ」「おいしい牛肉」「豊富な石油や天然ガス資源」、そして「不法移民の米国へのエントリーポイント」あたりではないだろうか。

テキサス州といえば「カウボーイとロデオ」だったが
写真=iStock.com/stevecoleimages
テキサス州といえば「カウボーイとロデオ」だったが(※写真はイメージです)

これらのイメージはすべて現実に即しており、間違っていない。

だが21世紀に入り、テキサス州は変わりつつある。上記の田舎っぽいイメージとは違う、洗練された都会と最先端のハイテク集積地としてのテキサスが、全米から、ヒトやモノ、ビジネスを磁石のように吸い上げ始めているのだ。

目下、テキサス州が「全国をリードする米経済の中核州」と呼ばれるゆえんである。

テキサス経済は「全米ナンバー2」

あまり知られていないが、テキサス経済の規模は全米ナンバー2で、世界の国内総生産(GDP)番付でも9位に入るほか、米国内では最も人気の高い移住先の地位に輝いている。

興味深いのは、ひと昔前までは国内移住先としてあこがれの的であった西海岸カリフォルニア州からテキサス州へ引っ越す人の数が、群を抜いて多いことだ。

ITのメッカであるシリコンバレーから脱カリフォルニアを図る人々や企業のテキサス移転の理由や背景を読み解くと、「カリフォルニア的なもの」と「テキサス的なもの」がせめぎあう米国全体の政治トレンドが浮かび上がる。

これは取りも直さず、「小さな政府(規制緩和)のテキサス」「大きな政府(規制強化)のカリフォルニア」という、それぞれの政策運営の違いが影響していると見る向きもある。