社会情勢の変化に合わせたルールの更新が重要

STEP3 振り返り――ルールを見直し、「成果の再現性」を高める

振り返りのステップは、前のステップで定めたルールや仕組みが目的通りに機能しているかを評価し、必要に応じて見直しを行う重要なプロセスです。

まず、浸透のステップで伝達したルールが、実際にメンバーの行動に反映され、当初掲げた目的や数値目標の達成に寄与しているかを確認します。この振り返りがあることで、ルールを策定しただけで満足することなく、実効性を検証し、改善につなげることができるのです。

また、社会情勢の変化に応じてルールを見直すことも大切です。たとえば、コロナ禍でオンラインでの面談が増えた場合、従来の対面を前提としたルールが適切でなくなっている可能性があります。

このように変化に合わせてルールを更新しないと、非効率な業務プロセスが残ってしまうリスクがあるのです。ルールや仕組みは、組織の大勢を一気に動かすことができるパワフルなツールである一方で、マイナスの影響も大きくなりがちです。

無駄なルールや時代に合わなくなったルールが残っていると、一人ひとりの行動量の無駄が組織全体で積み重なり、機会損失にもつながりかねません。

たとえば、お客様への悪印象を避けるために厳しい服装ルールを設けていたとしましょう。しかし、ビジネスカジュアルが一般的になった現在、そのルールを守ることが逆に自社の採用に悪影響を及ぼすかもしれません。

スーツを着た男女のビジネスパーソン
写真=iStock.com/mapo
※写真はイメージです

無駄なルールに時間を使うのは機会損失

あるいは、ある社員が1日のうち1時間を無駄なルールに従うために費やしているとしましょう。1人であれば1時間の損失で済みますが、100人の組織であれば、100時間分の行動量が無駄になってしまうのです。これは単なる時間の浪費だけでなく、その時間を本来の業務に充てることができれば得られたかもしれない利益を損失しています。つまり機会損失でもあるのです。

また、状況の変化に応じてルールを柔軟に変更できないことも、組織にとって大きなリスクとなります。このことは戦争にたとえるとわかりやすいでしょう。戦争において、晴天を前提に立てた作戦を、突然の悪天候の中でも変更せずに実行してしまえば、多くの兵士が敵に倒されてしまうかもしれません。

企業活動においても同様に、社会情勢や顧客ニーズの変化にルールを適応させていく必要があります。変化に対応できない硬直化したルールは、組織の競争力を損ない、市場での敗北を招くリスクがあるのです。

したがって、組織のルールやプロセスは定期的に見直し、無駄や非効率を排除していくことが重要です。それには、現場の社員の声に耳を傾け、変化のサインを敏感に察知する感度の高さも求められます。

過去の前例にとらわれず、現状に合ったルールを追求する。その積み重ねこそが、組織の生産性を高め、目的達成を後押しする鍵となります。