※本稿は、岩田圭弘『仕組み化がすべて』(SBクリエイティブ)の一部を再編集したものです。
個人よりも「チームの成果」を向上させる
「社員の平均年間給与は2000万円超」と言われるキーエンスですが、スタープレーヤーに依存することはありません。メンバーが誰であれ結果が出る「仕組み」を重視して、目覚ましい成果を出しているのです。
組織の成果を出すためには、メンバーの行動の総和である行動量と成果の相関関係を見極め、最低限必要な行動を仕組みとして規定し、共有することが求められます。そしてメンバーの行動を適切な方向へと導く仕組み化が重要です。
それでは、組織全体の成果向上のために、マネジャーが優先すべきことは何でしょうか。
それは、個人よりもチームの成果を向上させるスキルとしての仕組み化を身につけ、チーム内での情報共有や仕組み化を評価する制度を作ることを意味しています。
このことにより、チームの人数に比例して成果を向上させることができる理由を確認しましょう。
スタープレーヤーに依存してはいけない
組織全体の成果は、メンバーの行動によって生み出されるものだとお話ししました。その上で、なぜ仕組み化をするべきなのか確認しておきましょう。答えは、行動の質や確率を上げるためです。仕組みを作ることで、30人分の1人ではなく、30人分の30人を動かすことができるのです。
基本的に、組織は組織全体で成果を出すという考え方に基づいています。スタープレーヤーに依存するのではなく、誰かが抜けても困らないようにすることが重要です。つまり、再現性を高めることが必要なのです。
しかし、マネジャーになった人の中には、自らがプレーヤーとして成果を出してきた人が多いのではないでしょうか。すると、「自分が成果を出してさえいれば、30人分の1人でもなんとかなるのではないか。そこそこの成果を出せるのではないか」という考えに陥りがちです。自分がトッププレーヤーだったからこそ、このような考え方を肯定したくなるのもわかります。だからこそ、30人分の30人を動かすことの重要性を理解する必要があるのです。
少しわかりやすい人数で考えてみましょう。自分が5人チームの内の1人であれば、自分が突出した成果を出せば、なんとかチーム全体の成果を上げることができるかもしれません。
しかし、チームが30人になると、いくら自分が頑張っても、30人分の成果を1人で出すことはできません。それでは、組織が拡大していきません。大人数を任せられるマネジャーというのは、30人分の成果を出せるように仕組みを作って結果を出せる人です。