リーダーとしての責任を負わせることで学ぶものがある

このように突出した成果を出しているメンバーがいた場合は、その人に一度リーダーを任せてみるのも一つの方法です。

自分だけが結果を出し、周りが結果を出せないという経験を通して、チームをまとめることの重要性に気づく可能性があるからです。リーダーとしての責任を担わせることで、自分の限界にも直面するはずです。

メンバー同士の中で突出した人材に対して、周囲の成績を上げるモチベーションを与えるためには、組織をまとめる立場を経験させることが鍵となります。1メンバーの段階では、他のメンバーの成績を上げることまでは求められませんが、チームの責任者となった時点で、そのような責務が生じます。

つまり、責任と権限のバランスが重要なのです。組織における個人の成果とチームの成果のバランスを取ることは、リーダーシップを発揮する上で欠かせない要素です。個人の力を引き出しつつ、チーム全体のパフォーマンスを最大化するために、リーダーは常に全体を見渡し、適切な判断を下していく必要があります。

団結とチームワークのコンセプト
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新卒が4人いればトッププレーヤー1人に勝てる

キーエンスでは、自分が担当しているクライアントの他の部門の情報を得たときに、その部署を担当しているキーエンスの同僚に紹介して成果が出れば、紹介した自分にインセンティブが付与されるという評価制度があります。

このようなポイント制は、仕事の仕組みに関しても有効です。人に自分のやり方(仕組み)を教えてあげること自体が評価される仕組みがあればよいのです。たとえば、自分が担当しているのと違う商品のニーズをキャッチしたら、その情報をチーム内の他のメンバーに提供して、それが成約につながりインセンティブが得られる仕組みがあれば、それも仕組み化できます。

また、成功した営業プロセスや提案書を、毎月1件チーム内で共有できる仕組みを作り、チームとして有効な仕組み化につなげた結果が評価される仕組みがあれば、全体で仕組み化することへのモチベーションが高まります。

重要なのは、自分一人の成果よりも、自分の半分の能力の人が5人いたほうが2倍以上稼げる事実を知ることです。このような仕組み化の効能を、マネジャーは常に意識している必要があります。

人によっては、「新卒は戦力にならない」と思っているかもしれませんが、たとえ新卒がトッププレーヤーの3分の1の能力しか出せなくても、新卒が4人いれば、トッププレーヤー1人に勝てるのです。