25億円を手にし、彼女はユダヤ建国の礎となった

ラリー・コリンズ、ドミニク・ラピエール『おおエルサレム! アラブ・イスラエル紛争の源流(上)』(村松剛訳、KADOKAWA)
ラリー・コリンズ、ドミニク・ラピエール『おおエルサレム! アラブ・イスラエル紛争の源流(上)』(村松剛訳、KADOKAWA)

十ドル札一枚をもってアメリカに渡ったゴルダ・メイアーは、五千万ドルを手に帰途につくことになる。この金額は、エリエゼル・カプランが獲得を望んだものの十倍であり、ベン・グリオンが目標とした額の二倍に達する。それは中東最大の石油生産国であるサウディ・アラビアが、一九四七年に計上した全収益を凌駕りょうがしていた。

彼女のかわりに渡米することを望んだ小男は、ロッドの空港に彼女を迎えに出た。彼女がもたらした成功のみごとさを、そのシオニスムにとっての重大性を、彼ほどよく知っていた人物はいなかったのである。

――いつの日か歴史が書かれるとき、(とベン・グリオンは重々しくいった)史家はいうであろう。ユダヤ人国家の誕生を可能にしたのは、ひとりのユダヤの女であったと。

※原註=アメリカのシオニスムの指導者ステファン・ワイズが多額の基金を集めたことから、その名は百万ドルの同義語となっていたのである。

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