「口だけ」の政権に国民の不満は高まっている

しかし、これまでイスラムの危険を無視していた緑の党では、マンハイムのイスラムテロの後、形勢が悪くなったため、それを挽回しようとしたラング党首がコメントでズィルト島の若者を持ち出し、「すべての過激派は弾劾しなくてはならない」と述べた。

つまり、警官が殺害されたイスラムテロと、観光地での若者の悪ふざけを同等に並べ、双方を“過激派”として相対化することを試みたわけだ。しかし、これはさすがに無理があり、抗議の声が高くなった。

そんな中、ショルツ首相は6日の国会で、今後、重罪犯は、アフガニスタン、シリアといった紛争地の出身者であっても送り返すと述べ、案の定、それに対して緑の党が抗議している。

もっとも、アフガニスタンは現在、タリバン政権なのでドイツとは国交がなく、送り返す手段などない。ショルツ首相の言っていることは、欧州議会選挙を見据えた「口だけ」の話で、緑の党の反論も、それを知った上でのデモンストレーションであった可能性は高い。

多くの国民は、もうこのような茶番はいい加減に解消する時期だと思い始めているが、自分も解雇や停学の憂き目を見ると困るので、まだ、大きな声にはなっていない。今回のマンハイムのテロ事件がこの流れを変える可能性はあるが、ただ、そんな当たり前のことのために、若い警官の犠牲が必要だったのか思うと、悔しさが込み上げてくる。

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