「eco小」とは何か

なお、「eco小」とは、「男性のおしっこのみを流すケース」(紙を使わない)を想定して洗浄水を少なくしています。日本のトイレは、大切な水やエネルギーを、効果的かつ効率的に使用できるよう節約機能が豊富なので、とても高性能なのですが、こうした根拠や技術があることを知ると、さらに効率的に使えるでしょう。

ただしeco小は国内最大メーカーであるTOTOだけの限定的な機能です。他のメーカー製品にはありません。最近は洗浄技術が向上したために、eco小と小の差が無くなりつつあります。そこで新製品には「eco小」のボタンがないケースがあります。

日本の自動水洗トイレのコントロールパネル
写真=iStock.com/dontree_m
※写真はイメージです

節約のために大便を小で流すのはダメなのか?

地球環境を考え、「大の時でも小洗浄で流せば、水の節約になって良いのでは?」と思うことがあるでしょう。着眼点は悪くないのですが、忘れてはいけないのは、排泄物やトイレットペーパーが、便器の内部から排出し切って、建物の中や敷地内の排水管を通り抜け、公共下水道や浄化槽まで確実に到達するか? という点です。トイレの使用者は、つい「自分の目の前の便器から、汚物が消えればOK」と思いがちですが、それだけでは「終わった」といえません。

具体的に説明すると、汚物(=ウンチやトイレットペーパー)は、便器の内部のトラップ部分(古い便器なら、横から見ると分かるでしょうが、上り坂になっている部分やカーブしている部分)を通過したあと、排水管(床や壁に埋まって見えないケースが多い)に到達し、建物の中や敷地内を通過して、道路の下部に埋められている公共下水道に到達しなければなりません。公共下水道が完備されていない地域では、庭や駐車場に埋まっている「浄化槽」まで到達しなければなりません。

高層の建物ならば、高さがあるために公共下水道までの排水経路は長くなりますし、広い敷地の場合には、排水管がくねくねと建物の形にそって設置されているため、これもまた排水管が長距離化します。その中を汚物が流れるわけですから、それを手助けする洗浄水が少ないと、勢いが少なくなってしまい、汚物が途中で止まってしまうのです。

それが次から次へと連続した場合、「汚物の行列」ができてしまいます。そうなると洗浄水を流しても、水だけが通り過ぎてしまい、本格的に詰まってしまいます。もしも汚物が壁のように立ちはだかると、逆流することもありえます。

そうなると大がかりな対処が必要となるため、せっかく節水や節約をしても、逆に水を大量に流して回復させなくてはならず、余計な出費が増えてしまいます。これでは本末転倒です。詰まる物は汚物以外に、生理用ナプキンやペンなどもよくあります。便器内に汚物以外が落ちたら、早く便器の外に出しましょう。