わが国のIT後進国ぶりは深刻
中長期的な展開として、AI分野の成長は加速するだろう。大規模言語モデルに続き、自律的に思考するAI(汎用AI、AGIなどと呼ばれる)が登場するとの見方も多い。エッジAIの処理能力向上、データセンターやデバイスの電力消費能力の強化や小型化などの重要性は増す。関連する設備投資を、特定企業が自前で実行する難しさも高まるだろう。
今後、エヌビディアなどの主要AI企業は、一段とオープンな事業運営体制を目指す可能性は高い。AI分野の成長は、これまでの企業の事業運営、産業の在り方の常識を覆す。
わが国は“AI革命”に対応する必要がある。半導体の素材、製造装置などの分野で、わが国の企業はまだ競争力を保っている。光半導体など、次世代チップの開発も強化されている。
重要なポイントは、それぞれの企業がAIなど成長期待の高い分野で“ヒト、モノ、カネ”をダイナミックに結び付けることだ。わが国の電機、通信企業が、海外のAI企業との連携を強化することは、国内のAI利用を促進し、経済の回復にプラスの影響をもたらすはずだ。
それが難しいと、世界のAI革命への対応は難しくなるかもしれない。コロナ禍などで、わが国のIT後進国ぶりは深刻だ。遅れを取り戻すためにも、わが国の企業は内外の企業との連携を強化する重要性は高まっている。