仮に毎月の掛金が1万円の場合、年間の掛金12万円に所得税10%、住民税10%をそれぞれ 掛けると、合計で年間2万4000円もの節税になります。所得税の税率は課税所得により決まるので、課税所得が多い人ほどiDeCoにおける節税効果は大きくなります。

一方、パートで働く主婦の方などは課税所得が比較的少ないため、節税効果が小さくなってしまう点は注意しましょう。

iDeCoの掛金を所得控除の対象にするには確定申告の手続きが必要ですが、会社員で口座振替により掛金を納めている場合は、年末調整で対応できるので確定申告は不要です。

知っておきたいiDeCoの注意点2つ

ただしiDeCoは決してメリットばかりではなく、注意点も以下の2つがあります。

(1)原則、60歳まで引き出せない(資金ロック)
(2)運用後の受け取り方法で税金が変わる

まずiDeCoは年金制度のため、原則60歳になるまで年金資産(掛金と運用益)を引き出すことはできません。

小林亮平『イラストと図解で丸わかり! 世界一やさしい新NISAの始め方』(KADOKAWA)
小林亮平『イラストと図解で丸わかり! 世界一やさしい新NISAの始め方』(KADOKAWA)

これを資金ロックと言いますが、仮にiDeCoを始めた後に子どもが生まれて、教育資金や住宅購入資金などでお金が必要になったとしても、iDeCoで運用しているお金を途中解約することはできません。

このようにiDeCoはライフステージの変化による支出に対応できない点はじゅうぶん気を付ける必要があり、将来の資産設計をきちんと行った上で始めることが大切です。そのため、60歳までの大きな支出に備えることも視野に入れるなら、いつでも引き出せる新NISAを利用するのがいいでしょう。

またiDeCoは受け取る方法で、税金が変わるので注意が必要です。iDeCoは運用益が非課税で掛金も所得控除になりますが、60歳以降に年金資産を受け取る際、税金がかかる仕組みとなっています。しかも、運用益だけでなく、掛金を合わせた年金資産全体が課税対象となります。この受け取り時の課税はやや複雑で、受け取り方によって税金の計算方法が異なります。