息子に宿題を教えていた父親が心筋梗塞で緊急手術

子供たちに出される学校の宿題が、中国の親たちの深刻な負担になっている。中国の行き過ぎた学歴偏重社会が、親たちの命や健康を蝕んでいる実態が明らかになった。

南東部・広東省深圳市の第三人民病院は2020年9月、ソーシャルメディア「QQ」上のブログ記事で45歳の父親が緊急手術を受けた事例を紹介している。

記事によると、深圳市に住むこの父親は、新学期に向け、小学3年生の息子に出された数学の宿題を毎夜のように手伝っていた。何度も同じ説明を繰り返すうちに、自身の胸に痛みを感じることがあったという。ある日曜日、父親は突然激しく胸が痛み、意識を失ってその場に倒れ込んだ。

翌日、病院を訪れた父親は、院内で痙攣けいれんを起こし口から泡を吹いて再び失神した。心筋梗塞だった。心臓の筋肉に血液を送り込む冠動脈がほぼ完全に塞がっていた。倒れた場所は病院だったため、そのまま手術室に担ぎ込まれ、一命を取り留めた。

第三人民病院の心臓専門医は記事で、息子の宿題を手ほどきした際の激しい苛立ちが、心筋梗塞の直接の引き金になったと説明。父親には長年の喫煙習慣があり、さらにストレスが加わり血圧が急上昇し、心血管系に大きな負担がかかったという。病院以外で発症していれば、「想像を絶する」事態を招いたおそれがある、と医師は述べている。

SNSには子供の宿題に頭を抱える親たちの投稿が目立つ

中国版Xのウェイボー(微博)には、子供の宿題にひどく手を焼き、ストレスを抱える親たちの投稿が多数見られる。

小学校低学年で英単語の暗記が宿題になっているようだ。難易度の高い宿題も目立つ。ついていけない子供たちは戸惑い、何度教えても覚えない子供に親たちはフラストレーションを抱える。

フォックス・ニュースは2019年11月、内陸部・湖北省武漢市の36歳の母親の事例を紹介している。母親は小学3年生の息子の宿題を手伝っていた際に心臓発作を起こした。

親に叱られてテーブルの下に隠れる子供
写真=iStock.com/Thai Liang Lim
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