悪魔祓い

それから行田さんは家の中で呆然として過ごした。

夫は話しかければ義家族の話になってしまうことは明白だったため、何も言えずにいた。やがて夫に2週間の出張が決まる。

出張へ行く日の朝、行田さんが夫を送り出した後、久しぶりに家事をしていると、義母が来た。しばらく居留守を使っていたが、出ないと「実家に行くわよ」と脅され、渋々出る。玄関を開けると義兄も来ていた。びっくりした行田さんが抵抗するも虚しく、無理やり車に乗せられる。

着いた先は教会だった。義兄に強引に車から降ろされ、「牧師先生」と2人の女性が待つ教会内で、白装束に着替えさせられた。

そこからは地獄だった。

・木の椅子に縛りつけられた上で、2人の女性から竹刀のようなもので何度も殴られる

・バケツに入った水を何度もかけられる

・十字架を顔や体に押し付けられる

これらのことが日が落ちるまで繰り返された。

水を注がれているバケツ
写真=iStock.com/DanBrandenburg
※写真はイメージです

その日は教会に放置され、また翌日も同じことが繰り返される。

義母と義兄は自分たちの家に帰り、毎日家から教会に通ってきていた。

4日目の朝。

連絡が取れなくなった行田さんを心配し、急遽夫が帰ってきた。

自宅に行田さんはおらず、携帯電話と財布が入った鞄も家にある。また自分の母親に呼び出されたのかと思った夫は、バイクで実家に向かった。

するとちょうど義母と義兄が車で教会に向かう所だったため、夫は後を追う。

そして教会内に入ったところ、

「やめてください!」
「助けて! ○○くん!」

と叫ぶ行田さんの声が聞こえたためそちらへ急ぐと、無抵抗な自分の妻を、自分の母親と兄が竹刀の様な棒で殴っているのが見えた。

夫は行田さんを救出し、自宅へ連れ帰った。

「夫は2週間の出張だったので、それまでに痣や腫れが引けば良いと思ったのか、義母や義兄、教会の人たちも、手加減無しでした。手と足は縛られた跡がくっきり残っていたし、全身痣だらけで、顔面もかなり腫れていました」

行田さんはその後1週間、39度の熱が続いた。