離婚か引っ越しか

恐怖と我慢の限界が来た行田さんは、夫に「離婚か、引っ越しか、どちらかを選んでほしい」と迫り、夫は後者を選択。本当は義実家と縁を切ってほしい行田さんは、さらに夫に条件を突きつける。

・義母と義きょうだいに自分への連絡一切と宗教の勧誘を止めさせること

・義母と義きょうだいに引越し先の住所を教えないこと

引越しは業者には頼まず、父親の会社のトラックを使い、父親と夫で行田さんの実家近くのアパートに荷物を運んだ。

籍を入れてから3年が過ぎていた。

「この子はあと3日で死ぬよ」

引越し後、精神的に安定した行田さんは、金融系の仕事を再開し、まもなく妊娠が発覚。夫と喜び合った。

ところが妊娠6カ月の頃。引越し先を知らせていないのに、突然義母と知らない女性2人が来た。どうやら行田さんの実家から尾行されていたらしい。

カーテンの後ろの人影
写真=iStock.com/liebre
※写真はイメージです

行田さんがドアを開けてしまったため、義母と女性たちはズカズカと家に上がり込み、タンスや冷蔵庫を勝手に開け、散らかしまくって帰って行った。

その夜、行田さん夫婦は、父親の知人が大家をしているアパートに引越しした。

心労がたたったのか、行田さんは持病の肝臓病が悪化し、入院。それでも4000g超えの男の子を無事出産した。

翌朝、前日から病室に泊まっていた夫が、後陣痛の痛みに耐える行田さんのお腹をさすっていると、突然病室の扉が開いた。義母だった。

もちろん、産院を義母には伝えていない。

事情を聞いていた看護師たちが義母を追い出そうとすると、「お祖母ちゃんが孫を抱いて何が悪い!」と抵抗。さらに行田さんに向かって、「悪魔である優芽子ちゃんから生まれて来たこの子は、あと3日で死ぬよ!」と言い放つ。

看護師の1人に、「お姑さん! あなた本当に人の親ですか? あなたにこの子のお祖母ちゃんを名乗る資格ありません! お帰りください!」と叱責され、やっと追い出された。

後でわかったことだが、この病院の医療事務の女性が義母と同じ教団員で、義母に情報を漏らしたのだ。無論、この女性は解雇になった。

母親になった行田さんは、これほどの異常言動を見せつけられても、実家と完全には縁を切ろうとしない夫に辟易していた。

夫からの経済的な自立を決意した行田さんは、長男が4カ月で仕事に復帰。保育園に入園させた。

それから5カ月後のこと。夕方に長男を迎えに行くと、「お祖母ちゃんが連れて帰りましたよ」と園長先生。なんと義母が長男を連れ去っていた。

すぐに行田さんが取り戻したが、長男は薄着のまま義母に連れ回されたため、高熱を出し、肺炎になってしまった。