手術と入院で200万円

義母は約2カ月の入院を経て、退院が決まった。すると義兄が行田さんと夫に病院からの請求書を見せ、義母の手術・入院費用を夫と折半しようと言う。

「もう20年近く前の出来事のため、100%正確ではありませんが、開頭手術と入院費用で200万円以上の請求があったと記憶しています。当時26歳の無知な私でも、この金額はおかしいと思いました。義母は『神様に守られているから』と、公的医療保険も民間の保険もいっさい入っていなかったのです。もちろん、高額医療費請求も使えません」

医療費明細書と電卓
写真=iStock.com/Yusuke Ide
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これにはさすがに夫も抵抗。しかし結局義兄にはかなわず、夫は100万円を行田さんの両親に借りて支払った。

それからというもの、行田さんは再び夫に対して壁を作るようになる。義母の退院から数日後、行田さんは夫と義兄を呼び出し、両親から借りた100万円をいつ返してもらえるのかをたずね、こう言った。

「そもそもお義母さんが国保にも民間の保険にも入っていなかったから、あんな高額な請求が来たんですよね? 私の実家とは関係ないことです。お義母さんに100万円を返してもらいます!」

すると義兄は激昂。

「それはおかしいだろう! 母親の大変な時に息子が助けて何が悪い! 優芽子ちゃんの親が出したのならそれはくれたのだろう! 出せる人間が出したら良いんだ! お前もそう思うだろう!」

話を振られた夫は困惑。

「まぁ、借りたのは俺だし……。優芽子ちゃんのお父さんは返すのはいつでも良いって言ってたし……」

カチンと来た行田さんは、「私の親を巻き込まないで! そっちの家族間で解決してよ!」と叫ぶ。

「うちの弟や妹に金があるわけがないだろう! あいつらに迷惑かけるな!」と義兄。

「私の親に迷惑をかけるほうがおかしいですよね! じゃあお義兄さんが弟さんと妹さんの分を立て替えて……」

行田さんが言い終わらないうちに、義兄は机を叩いて出て行ってしまった。