待遇面での東西格差はあるのか

13位にランクインしている小野薬品工業は、抗悪性腫瘍薬「オプジーボ」を開発した医薬品メーカーだ。ランク18位に入っている不二製油グループ本社は、海外売上高比率が約6割の食品メーカーだ。 植物性油脂事業、業務用チョコレート事業が主力事業である。

関西経済圏の地盤沈下問題がクローズアップされた時期があり、本社を関西地区から首都圏に移そうという企業に対して、政府の経済関連当局担当者が直接出向いて翻意を迫るケースもあったことは事実。ただし、今日では待遇面の東西格差は薄まっているようだ。

アパレルでも年収137万円アップ

前年比で100万円を超す年収アップをした企業は、14社だった。

31位のオンデックは、買収したい企業と譲渡したい企業を橋渡しするM&Aアドバイザリー業務を手がける。

37位の因幡電機産業は電設資材や産業機器の卸販売が主力ビジネス。

53位の和田興産は、神戸を中心に「ワコーレ」ブランドの分譲マンション販売を手がける。支払給料手当・賞与が増額になったことで、従業員の平均給与額も100万円を超えるアップになったようだ。

ランキング106位のテクノスマートは、ディスプレイや2次電池用の塗工乾燥装置が主力業務。157位の建設機械などのレンタルを行うニシオHDは年収が193万円アップしている。ただこれは、2023年4月1日付で持株会社体制へ移行したことにより、従業員数が前事業年度末と比べて大きく減少したことが要因だろう。

ランキング圏外になるが、「3COINS」などアパレルブランドを全国展開するパルグループホールディングス(227位)の平均年収は、536.7万円→674.3万円と約137万円のアップだった。

平均年収が低い『全国ワースト500社』ランキング2023」でも触れたが、アパレル企業は不調の企業がいまだ多い。好調の理由を同社に聞くと、「コロナ禍後の需要の急回復が継続する中で、SNS活用(従業員発信)による販路拡大を行った。その結果、店舗&EC双方の売り上げが大幅にアップした」(人事部)とのことだった。

スシローの待遇は外食業ではトップクラス

年収ダウンで見ると、「スシロー」や「京樽」を運営しているFOOD&LIFE COMPANIES(ランキング101位)は対前年比約90万円のマイナスとなっている。

これは「前期の平均年収の額には、通常の賞与に加え決算賞与が含まれていることが主な要因」(広報部)という。

従業員給付費用は増額(連結ベースでは777億円→836億円)になっており、従業員個々のダウンはないとみていいだろう。

同社のホームページによれば、スシローの従業員の平均年収は537万円、店長は621万円、営業課長は884万円である。

なぜ外食企業としてはトップ級の水準を出せるのか。「スシローは1店舗あたりの売上高が高く、業務難易度も高いため、特に店舗責任者となる店長に対し業務内容に見合った報酬水準を設定することで、採用競争力の向上を目指している」(広報)とのことだった。