一人の無所属議員でも、政治はちゃんと変えられる

新宿区議会議員は38人。一人、新たな政策を掲げる議員が当選したところで、何も変わらない。だから全国的な潮流である高齢者偏重政治を何も変えることはできない。選挙の時からこのような声が私のもとに寄せられました。

ですが、実際に敬老祝い金の廃止を公約に掲げて当選し、議会で区長に廃止を要求すると、1996年の制度スタート以来、初めて敬老祝い金の一部廃止が決まりました。1845億円の一般会計歳出に対し、わずか2000万円ですが、確実な前進です。一人の地方議員が自治体の税金の使い道を抜本的に変えることは不可能かもしれませんが、少しの変化を生むことができます。

日本の大きな政策を決める衆議院選挙では、当選者の多くは選挙区で一人しか当選しない小選挙区で勝ちあがった政治家です。新宿区のような基礎自治体の税金の使い方に対し、強い権限を持つ首長も当然ながら、一つの基礎自治体で一人だけです。そのため、衆議院議員や首長への当選を目指すと、どうしても幅広い有権者に受け入れられる政策を掲げなくてはならず、今までの制度の受益者の多くを敵に回すことが困難です。

しかし、地方議員選挙は、一つの選挙区で複数の候補者が当選する大選挙区制です。そのため、私が掲げた「高齢者偏重政治にNO」のような従来の制度を大きく変える主張でも、一部の有権者に共感を集めれば、当選して議員活動をスタートさせ、実際に社会を変えることができるのです。

地元自治体の「お金の使い方」に関心を持つこと

人の生涯にわたる税金や社会保障の受益と負担を見る「世代間会計」の格差が日本全体で問題となり、医療費の高齢者負担を1割から3割に引き上げるなどの社会保障改革が一部国会議員から提案されるものの、高齢者偏重政治の厚い壁に跳ね返されているという現状があります。

まずは、新宿区の敬老祝い金の一部廃止のように、「高齢者偏重政治の是正」を掲げる地方議員が一人、また一人と各地で小さな変化を基礎自治体で勝ち取り続けることで、結果として、国全体の高齢者偏重政治を変える大きな潮流が生まれると、私は信じています。

皆様もまずは自分が住む自治体の身近のお金の使い道に関心を持って、自治体を動かしてみてはいかがでしょうか。地方政治では、一人が動けば、案外、身近な税金の使い道は変わります。

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