組織風土の7割はトップで決まる

【真衣】組織風土はリーダーシップへのほんの布石でございました。先の高野氏はこう続ける。

「こうした組織風土に重要な影響を及ぼすのがリーダーシップである。我々の調査によれば、組織の風土はリーダーが発揮するリーダーシップのスタイルによってほぼ決まってしまうことが分かっている。両者の間には5~7割の相関があるのだ」

次いで高野氏は、こう畳みかけるんだ。

「つまり、優れた組織風土をつくるのも、それを壊すのも、監督やコーチのリーダーシップ次第ということになる。実際、スポーツの世界を見ていても、監督が変わっただけでチームが急に点を取れるようになることがある。選手が変わったわけではない」

【ダイ】これは強烈だ。反論できやしない。

【真衣】これを言った瞬間の爽快感たるや。まさにセールスのキラートーク。相手の顔がみるみる不安気に変わる。

【マル】性格わるっ。

【真衣】「組織風土に最大7割もの影響を及ぼすのが、なんと当該組織のトップ、つまりあなたのリーダーとしての一挙手一投足、立ち居振る舞い、一言一句なんです。あなたのリーダーシップが、組織の空気を決め、またそれがなんと業績に最も影響しているんですよ?」なんて言われて、ドギマギしないほうがおかしいでしょう?

【ダイ】これは効くぜ。どんな企業も業績創出がミッションなのだから、「私のリーダーシップは大丈夫でしょうか?」って診断を受けたくなるわな。

リーダーシップ研修が売れる理由

【真衣】そうでしょう。「いろいろと闇雲に手を打つ前に、業績はあなたの『リーダーシップ』にかかってます」と言われたら、「それを自分は今、100点満点の何点くらい持ってるんだろうか?」と知りたくなるのが人情。自分以外にも、「売り上げが落ち込んでいるあそこの部長は、『リーダーシップ』に問題があるのかもしれない。調べさせよう」と発想するのも無理はない。リーダーシップを測って、平均以下だったりしたら、「引き上げるために、この『リーダーシップ研修』をどうぞ。業績創出への近道です」とつなげば完璧。

勅使川原真衣『「能力」の生きづらさをほぐす』(どく社)
勅使川原真衣『「能力」の生きづらさをほぐす』(どく社)

【マル】能力を調べなきゃ話にならないよね、とその気にさせる秘訣ひけつはこれか。

【真衣】うん。うまいこと商品化されているでしょう。母さんもこんなことを何千回言ったかわかんないのよ。時効ってことで許してね。

「リーダーシップのスコアの貴社業界平均は××なので業界のなかで飛躍したいのであれば、あと×ポイント上げていかないといけません。上げるのにお薦めな方法は、弊社のリーダーシップ開発プログラムを受講いただくことです」ってさ。

【ダイ】自分の知らない、業績を上げる秘訣が、組織風土やリーダーシップにあるらしい。でも、残念ながらそれらには計測器があって、乗れば簡単に測れる体重計のようなものではない。リーダーシップ測定と開発のプロに任せるしかないんですよ、と言ってしまう。ふむ、お見事。

【マル】そこまで言われると、リーダーシップなんて我が社には関係ありません! と言えるほどハートの強い人はそうそういない。

【真衣】社会人なら当然知りたい、知るべきリーダーシップ。売れる土俵は整ったでしょう?

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