現状の日本経済を考えれば
一方、先に述べた小金井カントリークラブの会員権相場は、今では4000万円程度です。東京郊外でバブル期に4倍値上がりした土地はその後、元の水準の4分の1にまで下落し、最近少し上がったというほどです。
私がなぜ小金井カントリー倶楽部の会員権相場を注視しているのかというと、それは日本国内で一番「余っているお金」の勢いを表しているからです。
株式市場には、私たちの公的年金を運用する世界有数の投資機関であるGPIFや、アベノミクス以降は日銀まで参入するようになり、「官製相場」とまで言われるほどです。つまり、政府関連の資金が流れ込むことがあり、実力を超えている部分もあります。でも、ゴルフ会員権にはそのようなお金は流れ込みません。
GPIFには、日本株は全体の25%という上限があり、このところの株高で持ち高を減らす必要があり、日銀もリスク性資産を減らすことが急務ですから、両者ともに徐々に日本株の持ち高を減らす傾向だと考えられます。土地やゴルフ会員権は弱含みではありませんが、バブル期のような勢いはありません。
こうして考えると、バブル期が異常だったのです。いずれにしても、膨大な財政赤字を抱え、人口が今後も大きく減少する中で社会保障負担が今後ますます政府にも個人にものしかかってくるのは必至です。
長期的には、こうした大きな問題や「実質賃金」が長きにわたってマイナスとなっている現状は何一つ解消していないのです。そういう環境の中での日経平均株価最高値ですが、これにより景気が長期的に上向き続けると考えるのは早計でしょう。