日本の株価上昇は「7企業」にかかっている

ついに日経平均株価は、34年ぶりに史上最高値を更新した。ここまで急速に株価が上昇すると、いずれは利益確定の売りが出ることは避けられない。株価はどこかで調整することになるだろう。

上げ幅が前日比600円を超えた日経平均株価を示すモニター=2024年3月1日午前、東京都中央区
写真=時事通信フォト
上げ幅が前日比600円を超えた日経平均株価を示すモニター=2024年3月1日午前、東京都中央区

問題は、その後、中・長期的に日本幹部が上昇過程を維持できるか否かだ。最近、米国の有力投資銀行である、米ゴールドマン・サックスがわが国の株価を牽引する候補の7つの銘柄、いわゆる“セブン・サムライ(七人の侍)”を暫定的に選定したのが参考になりそうだ。

ゴールドマンが上げた7銘柄とは、SCREENホールディングス、アドバンテスト、ディスコ、東京エレクトロン、トヨタ、SUBARU、三菱商事だ。セブン・サムライの呼称は、米国の有力先端企業7社“マグニフィセント・セブン(GAFAM+テスラ、エヌビディア)”をなぞらえたのだろう。あるいは、黒澤明監督の名作である『七人の侍』(1954年)からとったのかもしれない。

ただ、足許の日本の産業界を見渡すと、“セブン・サムライ”以外にも中長期的な業績の拡大が見込めるわが国の産業分野はありそうだ。今後、わが国経済が本格的な起伏基調を辿ることができるかどうか、それがわが国の株価の先行きを決めることになるだろう。中長期的に、半導体など成長期待の高い分野で収益力が高まる企業が増え、わが国の株価を牽引する展開を期待したい。

なぜ半導体、自動車、商社が選ばれたのか

ゴールドマン・サックスが挙げた、わが国の株価を牽引する候補銘柄“セブン・サムライ”は3つの業種に分類できる。一つ目は、半導体製造装置メーカーだ。オランダのASMLや米エヌビディアの決算が市場予想を上回り、生成AIの需要が急拡大することは明確になった。今後も生成AIの重要性は高まり、製造装置の需要は増える。

それは、“セブン・サムライ”に選ばれた4社など国内半導体製造装置メーカーに追い風だ。SCREENは主に半導体を洗浄する装置の製造で高い技術力を持つ。アドバンテストは半導体を検査する装置の製造に強みを持つ。ディスコはシリコン・ウエハーの切断などを行う、精密加工ツールおよびそれを搭載した装置分野でシェアが高い。東京エレクトロンは、フォトレジスト(感光剤)の塗布装置などで世界的にシェアが高い。

いずれの装置もAIチップの性能向上に必要だ。それが生成AIの能力向上を支える。“マグニフィセント・セブン”の向こうを張る形で“セブン・サムライ”を選択し、うち4社が半導体製造装置関連分野であることに相応の説得力はある。