経済復活のカギは「ニッチだが、模倣が困難」

いずれも、生成AIの拡大によって、中長期的に需要増加が見込める。足許、スマホ需要の不安定さに直面しているが、コンデンサなど電子部品分野でも世界的に高い製造技術を持つ企業が多い。

半導体の関連部材や水などの精製、電子部品などの分野に共通するのは、分子レベルからより純度の高い素材の生産方法を確立したことだ。分解したくてもできないモノを製造する技術について、わが国の比較優位性は高いといえる。

製造装置、チップなどは分解し、その構造を把握することによってコピーできる。中国のファーウェイが設計開発した、回路線幅7ナノ(ナノは10億分の1)メートルの5G対応チップを、中国のファウンドリーである中芯国際集成電路製造(SMIC)は自力で生産した。製造装置やチップの構造をコピーできたからだ。

しかし、極限まで純度を高めた半導体の部材を分解し、構造をコピーすることは難しい。ニッチだが、模倣困難な製造技術を持つわが国の企業も、中長期的な成長が期待できる。

半導体の製造ライン
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投資の神様・バフェット氏も動いていない

わが国の株価は急速すぎるぐらいの上昇を辿ってきた。いつ利益確定の売りが出て、波乱含みの展開になってもおかしくない。米国の株式市場についても同様のことが言える。特に米国株は割高にあるとの指摘は多い。米国株が調整局面を迎えると、日本をはじめ主要国の株価は、一時的に高値波乱になるはずだ。

著名投資家であるウォーレン・バフェット氏も、相場の過熱感が高まり魅力的な投資機会は乏しいと考えているようだ。どこかの時点で、米国株の調整は避けられないかもしれない。その場合には、日本株も例外ではあり得ない。

国内では、昨年7月~9月期、10月~12月期に続き、1月~3月期のGDP(国内総生産)の成長率がマイナスになる恐れが高い。3期連続マイナス成長の中、3月か4月に、日銀がマイナス金利政策を解除するとの見方もある。