先進国の中でなぜ日本株が強いのか?
2023年7月~9月期、10月~12月期、2期連続でわが国の経済成長率はマイナスだった。主な要因は、給与の上昇が物価上昇に追いつかず個人消費が振るわないことだ。2四半期連続のGDPマイナス成長は一般的に景気後退といわれる。
日本経済が後退に陥ったのであれば、本来、株価は下落してもおかしくない。ところが、日本株はしっかりした展開で、22日にはバブル期につけた史上最高値である3万8915円87銭を上回った。最高値の更新は約34年ぶりだ。
景気の状況が良好ではないにもかかわらず、株価がしっかりしているのは主要先進国もみられるのだが、中でも日本株が強い。その背景には、世界的に“金余り”の状況が続いていることがある。
昨年来、割安感の高まった日本株を買う欧米の主要投資家は増えた。1月、米国で前のめり気味に利下げ期待が高まり米欧の金利は低下した。生成AI関連の成長期待は追加的に高まり米国株の過熱感は高まった。それにつられて、日本株の上昇も鮮明化した。
企業は賃上げと収益力を上げることが不可欠
新型NISAによる個人投資資金の流入もあり、上昇速度が加速した。また、中国経済の低迷懸念の高まりにより、中国株を売り、日本やインドの株を買う投資家も増えたことも見逃せない。中東のオイルマネーの流入も目立っている。
ただ、足許、日本株の割安感はほとんどなくなった。目先、日本株が一段高を試す可能性はあるが、いつ、高値から数パーセントの調整があってもおかしくない。特に、米国株の調整リスクは上昇したと考えられる。それに引っ張られる形で日本株が調整する可能性は高いだろう。
中長期的に、日本株がさらに上昇するには企業収益力の一段の上昇が必要だ。春闘で予想を上回る賃上げが進み、半導体関連を中心に設備投資が増加し機械受注の増加傾向も明確になれば、日本株の上昇余地は増えるだろう。逆に、それが明確にならないと、米株の調整や日経平均株価の高値近辺への上昇で、いったん、相場に達成感が出るかもしれない。