「日本株買い」は一巡しつつある

世界的な金余りから、アジアや中東のオイルマネーの日本株買いが続いているとの見方もあるが、欧米の主要投資家の日本株買いは一巡しつつあるようだ。また、国内の景気動向に加え、米国株の動向にも注意が必要だ。12月のFOMC以降の株価上昇で、米国株の割高感は高まった。

1月、米国の消費者物価指数(CPI)は予想を上回った。米国の金融市場で、2024年にFRBが6回の利下げを行うとの期待は消えつつある。2月中旬、2024年末の政策金利は4.50~4.75%(3回程度の利下げ)になるとの見方は増えた。物価、労働市場のタイトさから、利下げはないと予想する投資家もいる。

利下げ期待の後退で、米国の国債流通利回り(金利)は全年限で上昇した。金利が上昇すると、長期に企業が生み出すキャッシュフローの現在価値は減少する。理論的に、株価の下押し圧力は高まる。

AI関連銘柄「スーパー・マイクロ」の株は250%も上昇

足許、米国の生成AI関連銘柄の一部で成長期待は過剰になりつつある。年初から2月15日まで、AIサーバーの冷却装置を提供する“スーパー・マイクロ・コンピューター”の株価は250%程度上昇した。エヌビディアの上昇率(約46%)を上回った。生成AIの成長期待は高いが、ごく短期間で収益が株価と同じペースで増えるとは考えづらい。

翌16日、スーパー・マイクロ株は前日比20%程度下落した。過熱感を警戒した投資家が売りに回り、価格の変動性は急上昇した。すべてではないにしろ、米IT先端銘柄の上昇は行き過ぎだ。株価が高値を更新すると利益確定の売りが増加し、相場が調整する可能性は高い。5~7%程度の調整はいつあってもおかしくない。

複数のモニタを見つめるトレーダー
写真=iStock.com/kasto80
※写真はイメージです

商業用不動産関連のリスクも懸念材料だ。ムーディーズによると、2023年第4四半期末の米国のオフィス空室率は19.6%、1980年代以降で最高だ。テレワークの増加によりオフィス需要が減少した。資金繰り悪化を食い止めるために、海外物件を投げ売る中国の企業も増えた。商業用不動産関連の貸倒引当金が増加して中堅銀行の業績懸念が高まり、米国株が調整する可能性もある。