「海外のほうが稼げる」と海を渡る例が相次いでいる。性風俗業も例外ではない。アメリカを中心とした海外で、エスコートガールとして働くミドリさん(仮名・35歳)もその一人だ。特定の店に所属せず、客と直接やり取りして仕事を得ている。日本の風俗と何が違うのか。松岡かすみ記者がまとめた朝日新書『ルポ 出稼ぎ日本人風俗嬢』から一部を抜粋、再編集して紹介する。
*本書では、性風俗業での海外出稼ぎの実体験のみならず、出稼ぎがはらむリスクやそこに至る社会的要因などを多方面から取材。個人の責任如何でなく、現代日本社会全体で考えるべき問題を提起している。
先輩の紹介で、海外の客を取るように
数年ぶりに会ったキャバクラ時代の先輩から誘われたのが、出稼ぎの仕事だった。聞けば、生粋の日本人女性で海外の客を相手にしたエスコートガールが少なく、接客できる人を探しているという。「英語が話せなくても、相手とコミュニケーションを取ろうという姿勢が見えれば大丈夫。風俗経験がある、綺麗で品がある日本人女性を探していて、ミドリちゃんがパッと思い浮かんだ」という先輩の言葉に嘘はなさそうに見えたし、純粋に嬉しかった。
俄然興味を持ったミドリさんは、先輩の紹介で、都内に出張で訪れる海外ビジネスマンの接客からスタートした。何でも先輩の客の知人に、アジア人女性好きのリッチな男性が複数人おり、日本に出張に行く際に女性を紹介してほしいと言われているらしい。先輩は、女性を紹介することで手数料を受け取る斡旋業に近いことも行っているようだった。「以前、日本滞在時のホテルにデリヘルを呼んだこともあるらしいんだけど、容姿も接客もお粗末だったみたいで、きちんとそれなりの子を紹介してほしいと言われている」というのが先輩談だった。