小さな世界を丁寧に描き、高評価の「おっパン」「つくたべ」

テレビ局は、過去のリトレース番組がウケないときに、「ポリコレ」や「コンプラ」を言い訳にするのはもうやめたほうがよい。

新たなトライアルも芽を出し、成功作も出てきている。前回、「不適切にもほどがある!」の記事を書いたところ、SNSで幾人もの方から「ドラマならそれより、おっパンを見てください」「つくたべ、いいですよ」とコメントをいただいた。

おっパンとは「おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか!」(東海テレビ制作、フジテレビ系)、つくたべとは漫画原作の「作りたい女と食べたい女」(NHK)である。全く違う内容のドラマだが、どちらも、異なる他者に対して、真正面からコミュニケーションをとり、自分自身も少しずつ変わっていくという点で、共通する人物像を描いている。

既存の価値観に対する違和感は飲み下し、カラ元気を出していく平成スタイルを肯定するのが「ふてほど」なら、社会からこぼれ落ちてしまいそうな自分の戸惑いを、ゆっくり咀嚼そしゃくしてどう向き合うか考えるのが、令和にフィットする「おっパン」や「つくたべ」なのではないか。

「テレビは勝ち組の集まりだった」というフジテレビ審議会

フジ審議会の議事録には「テレビは勝ち組の集まりだった」ともある。局の上層部にはいまだ輝かしいバブル期の記憶がうっすらと残っているのかもしれない。ただ、そんな気分で生きている人はこの令和の世にはもう少ない。かつての成功体験にしがみついても視聴率は取れない。

コンプラやポリコレを息苦しい足かせと考えるのは強者の論理だ。むしろ、コンプラやポリコレのおかげで「やっと息がしやすくなった」「自分の居場所が少しだけできた」と生きやすくなった人だって大勢いるはずなのだ。そういった、ある意味「まじめ」な感覚に向き合えなければ、テレビはますます世間から「スベってる」「ズレてる」と思われていくのではないか。いまがアップデートのラストチャンスだろう。

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