同じ小学館の漫画が原作のドラマ「たーたん」は制作中止に
すでに影響は大きく、日本テレビは4月開始予定だったドラマ「たーたん」の制作中止を決めた。「たーたん」の原作は、「セクシー田中さん」と同じく小学館が発行する西炯子氏のマンガだ。主演はムロツヨシ、そのほかに吉岡里帆、ディーン・フジオカらを迎えた豪華俳優陣が売りで、すでに脚本も完成、あとはクランクインを待つばかりだった。
しかし今回の件を受けて原作と脚本とを付き合わせたところ、改変箇所が見つかり、制作は断念された。出演予定だった吉岡里帆は、自身のインスタグラムで「大事な決定だと思います」と冷静にコメント。「セクシー田中さん」では人命が失われる結果となり、テレビ局にも出版社にも苦情が殺到しているとみられ、現状では制作中止が妥当な判断なのだろう。
日本テレビはあと1カ月余りで、どのような代作を用意するのだろう。どのテレビ局も近年はオリジナルのドラマ脚本を書き下ろすギャンブルを避けて、すでに評価の安定している人気漫画を原作とするケースが多かった。今回の改変問題を重く受け止めて、その流れは変わるのか。今後も漫画原作ドラマをつくっていくのなら、原作者との契約、脚本確認、制作のフローに抜本的な見直しが必要だろう。
※日刊ゲンダイDIGITAL「日テレ 春ドラ『たーたん』制作中止で小学館との“蜜月関係”崩壊へ…尾を引く『セクシー田中さん』問題の深刻度」
うまくいかないのは「人権意識」が足かせになっているから?
問題の続く日本のテレビ、はたしてどこに向かっているのだろう。2024年1月のフジテレビの番組審議会レポートを読むと、うっすらと上層部の考えが透けて見えるようだ。この回のテーマは「テレビと人権」。
「人権意識が強くなりすぎると良い表現ができなく(……)番組がつまらなく」「テレビが行儀の良いことを目指しすぎる動きの中で、テレビ以外の媒体の方が真実だったり、面白いと思われないか、危険」まるで、人権こそがテレビをつまらなくしている元凶だ、とでもいいたげな意見が並ぶ。
おそらく「テレビ以外の媒体」とはYouTubeやTikTok、有料配信チャンネルを指すのだろう。テレビは公器だからヤンチャができない、自由な他媒体がうらやましい――というような口ぶりだ。だが、本当にそうだろうか?
例えばYouTubeは、Googleの広告料分配のさじ加減ひとつで収入が激減するハイリスクな世界だ。参入障壁も高く、すでに数年前からレッドオーシャンである。動画編集も投資と技術が求められ、楽な商売ではない。
そのYouTuberの中で国内でトップをひた走り続けるのは、小学生から圧倒的な支持を得るHIKAKIN(ヒカキン)だ。彼の大きな特徴のひとつに、問題があればすぐ謝罪するという点が挙げられる。