松本氏側から届いた訴状が「おかしい」
木俣氏はこのほかにも、「テレビにコメンテーターとして登場する弁護士が名誉棄損裁判に詳しくない」、文春が完売したとしても、「利益は概算でおそらく4000万円に満たないと推察」、外国の名誉棄損裁判では、訴えた側が立証責任を負うことについても触れている。
完売したとしても4000万円、社内の他部署の経費を差し引くと2000万円くらいではないかとしているが、そうだとしたら、完売しなければ毎号どれだけの赤字が膨らんでいるのだろうかと心配になる。
それでも多くの経費をかけながら、権力者たちのスキャンダルを毎号追いかけている文春編集部には頭が下がる。
松本人志が文春を訴えた裁判は、3月28日に東京地裁で口頭弁論が行われるそうだ。
いよいよ注目の裁判が始まるが、文春(2月29日号)は、松本人志から届いた訴状を公開して、早くも内容がおかしいと先制パンチを浴びせている。
訴状は全13ページに及び、昨年12月27日発売号の「松本人志(60)と恐怖の一夜『俺の子ども産めや!』」と題した記事によって名誉を棄損されたと主張。五億五5000万円の損害賠償に加えて、文字の大きさやフォントまで指定した謝罪広告の掲載を求めているそうだ。
これは珍しいことではない。私が現役時代にも、訴えた側が謝罪文の要求と同時に、どのページのどのあたりに、どれくらいのフォント(私の時代は活字の大きさだったが)を要求してくるのはよくあった。
「極めて杜撰な取材活動に基づくものである」
その訴状にはこう書かれているという。
「A子記述部分の記述は、A子の“体験”として、原告から、『いきなりキスされ』そうになったこと、『またキスされそうになったので、しゃがんで抵抗したところ、足を固定されて3点止めの状態にされ』たこと(略)等を記述することにより、一般読者に対し、原告が、明らかにA子の意思に反して、「無理やり」性的行為に及んだとの事実を認識させるものである」
同じ記事中に登場するB子の記述部分や関連記述についても、
「B子記述部分においても、原告が、B子に対して、『全裸でベッドに引きずり込んだ』こと(略)等を記述することにより、一般読者に対し、原告が、B子が『必死に抵抗』していたにもかかわらず、性的行為に及んだとの事実を認識させるものである」
松本側は計12カ所の記述に対して、
「『性的行為を強要』したというレッテルが貼られてしまえば、芸能活動を行う原告の社会的評価を著しく低下させる」
「ましてや、それが複数の女性に対し行われていたかの如き記述は、原告の芸能活動に、致命的な負の影響を与えることにより、社会的評価を低下させることは言うまでもなく、原告の名誉を棄損するものであることは明らかである」
「本件記事は、原告がA子及びB子に対し性的行為を強要したという客観的証拠は存在しないにもかかわらず、一方的な供述だけを取り上げて記事として掲載するという、極めて杜撰な取材活動に基づくものである」としているというのである。