絶滅危惧の「ヤマトイワナを食べろ」と言っているようなもの
「ヤマトイワナを守れ」とJR東海に求める張本人の川勝知事が、地元の井川漁協にイワナ漁の免許を出している。
2021年、中部電力・二軒小屋発電所の水利権更新について知事意見を求められた。
川勝知事は2022年1月、「異議なし」と国交省に回答した。
最も重要なのは、知事意見書の中に、「大井川及び西俣川区域は井川漁協の漁業権漁場であり、イワナをはじめとする漁業権魚種が生息している。漁業に支障をきたすことのないように漁協との協議を継続するよう指導されたい」とあることだ。
「イワナ、アマゴなどの漁業に支障がないように」というのが川勝知事の意見である。つまり、「ヤマトイワナを食べろ」という主張であり、それで「ヤマトイワナを守れ」ではあまりにも矛盾する。
リニア問題の県生物多様性専門部会では、一貫してヤマトイワナ保全をテーマに議論してきた。
JR東海はヤマトイワナを頂点とする食物連鎖図を作成して、河川の水生生物全体を守るための対策を示してきた。
川勝知事の「環境保護」にはまるで説得力がない
県専門部会では毎回、リニア工事の影響を回避させ、ほぼ絶滅したヤマトイワナ復活を求める不毛な議論を繰り返してきた。
何よりも、アカウミガメと違うのは、ヤマトイワナの保護保全を求める地域の団体などは皆無であることだ。
渓流釣りの団体、井川地区の漁協などはヤマトイワナを採捕する側であり、「ヤマトイワナを守れ」と訴えているわけではない。
そもそも採捕して食べてもいい「ヤマトイワナを守れ」という静岡県の主張は説得力に欠けるのだ。
「食べてはいけない」アカウミガメと「食べてもいい」ヤマトイワナの違いをきちんと理解できれば、「南アルプス保全」を唱える川勝知事の姿勢があまりにもおかしいことがはっきりとわかるはずだ。