JR東海はリニア妨害を続ける川勝知事の「説得」と同時並行で、世界初の技術の実用化を目指している。ジャーナリストの小林一哉さんは「JR東海は希少資源を大量に必要としない方法でのリニア運行にめどをつけた。あとは川勝知事が首を縦に振るだけだ」という――。

「開業は2027年以降」に込められたJR東海の抗議

リニア中央新幹線は、東京・品川―名古屋間を40分、さらに大阪までを67分で結ぶ計画である。東京、大阪が約1時間圏内になるから、経済、社会活動に大きな影響を与え、日本の未来に大きなインパクトをもたらす可能性が高い。

ところが、2017年10月以来、静岡県の川勝平太知事が静岡工区の着工を認めないため、リニア開業は見通しがつかない状況が続く。

静岡工区の未着工を理由に、JR東海は昨年12月14日、東京・品川―名古屋間の開業時期を2027年から「2027年“以降”」に変更すると発表した。

2037年大阪開業の計画にも深刻な影響を与える。

今回の発表で、JR東海は2027年に開業できない理由が「静岡県の対応にあること」を明確にした。

つまり、リニア建設促進期成同盟会副会長で、早期の建設推進を担うはずの川勝知事へ「抗議」の姿勢をはっきりと示すことになった。

昨年1年間、静岡工区着工の許可権者である川勝知事は新たな難くせをつけることに大忙しだった。今回の発表は、事業者であるJR東海のできる最低限かつ精いっぱいの「抗議」と言える。

このような姿勢を示すことで、静岡工区着工の打開策につながっていくことが期待される。

2024年はリニア計画の「翔」の年になる

さらに、もっと重要なのは、リニア計画がもたらす世界的なインパクトを発信して、リニアへの理解を深めてもらうことである。

つまり、「すごいぞ! リニア」を国民にもっと理解してもらい、強烈な世論の力で、川勝知事にプレッシャーを掛けて、膠着状態を打開したほうがいい。

昨年12月26日の会見で、川勝知事は、2023年を振り返る1字を「脱」、2024年の1字に「翔」を選び、さまざまな理由を挙げた。

昨年の「脱」からことしの「翔」を掲げた川勝知事(静岡県庁)
筆者撮影
昨年の「脱」からことしの「翔」を掲げた川勝知事(静岡県庁)

その中で、JR東海がリニア開業を「2027年以降」としたことに、「開業は難しいとしていた2027年の区切りから『脱』となった」と、開業の障害となる当の張本人が、ひとごとのような説明をした。

ただ、リニアにとって、まさに昨年は「脱」、ことしが「翔」である全く別のビッグニュースが、川勝知事の選んだ2文字にぴったりと重なった。

「すごいぞ! リニア」を象徴する2文字であることを全く知らないで、川勝知事はたまたま「脱」と「翔」と色紙に書いたのだ。

さて、その「すごいぞ! リニア」とは何か?

それは「超電導技術」の革新的な進化である。