「超電導技術」の革新的な進化とは

昨年3月、「超電導技術」の革新的な進化を、国のリニア技術評価委員会が認めた。それを受けて、JR東海は昨夏に、リニアパンフレットを新版に変更した。

非常に難しい技術分野のことだけに、ほとんどの人たちは関心を示さず、また、読んでもその内容を理解するのは一筋縄ではいかない。

JR東海も革新的な技術をさらにブラッシュアップしなければならないから、大々的に公表しなかったのかもしれない。

だから、2024年のことしは、その革新的な技術に磨きをかける「翔」の年としたいのだ。

まず、川勝知事の超電導リニア技術の見識から紹介する。

昨年12月12日の静岡県議会で、自民党県議が「超電導リニアの技術を国益ととらえ、リニアの早期開業に向けて取り組むべきではないか」と、リニア計画に口だけは「大賛成」とする川勝知事の政治姿勢をただした。

昨年12月の静岡県議会で「超電導技術」について答弁する川勝知事
筆者撮影
昨年12月の静岡県議会で「超電導技術」について答弁する川勝知事

これに対して、川勝知事は「リニア中央新幹線に用いられる超電導技術は世界に誇る技術と確信している」と答弁した。

「世界に誇る技術と確信」は口先だけであり、実際のところは、昨年のリニア技術の革新的な進化など全く承知していなかった。

川勝知事「リニアには大量の希少金属が必要」

というのも、川勝知事は、雑誌『中央公論』2020年11月号で、コロナ禍の中で、リニア計画の再考を迫る理由に、「世界に誇る技術」の危うさを指摘していたからだ。

県議会答弁でも、「国益」を優先するよりも、南アルプスの環境保全が重要などとうそぶいただけだった。

『中央公論』で、川勝知事はリニア再考を迫る理由の1つとして、「超電導コイルに必要な希少金属(ニオブ、チタン、タンタル、ジルコニウムなど)は世界で取り合いになっている」として、希少金属の調達を危惧した。

リニアの電導コイルに使うニオブチタン合金の材料ニオブ(Nb)、高純度のチタン(Ti)は希少金属だが、酸化鉱物に含まれるチタン埋蔵量は多く、日本国内でもチタン生産は活発である。

川勝知事は、ニオブ、チタンなどが調達できない可能性を指摘して、リニア計画の見直しが国の責務だ、と主張していた。

いずれ、JR東海は超電導磁石の材料となる希少金属を調達できなくなると脅したのだ。