静岡県の川勝平太知事が静岡県議会に諮らずに、新たな文化施設の構想を外部に語った問題で、川勝知事は「構想を白紙にする」として謝罪した。ジャーナリストの小林一哉さんは「川勝知事は謝罪はしたが、発言の訂正はしなかった。過去に『次に失言をすれば知事を辞める』と宣言しているが、その約束はまったく守られていない」という――。

12月県議会での川勝知事の「謝罪」の中身

静岡県の川勝平太知事が、県議会本会議の場で、思いも寄らぬ不可解な謝罪をして、周囲を驚かせた。

一体、何があったのか?

決議案が全会一致で可決されたことを受け謝罪する川勝知事(静岡県議会本会議場)
筆者撮影
決議案が全会一致で可決されたことを受け謝罪する川勝知事(静岡県議会本会議場)

12月6日の静岡県議会代表質問の冒頭で、「不適切発言」による政治姿勢を問われた川勝知事は「県議会から決議をいただく状況になったことに、まことに申し訳なく、心よりお詫びする」と述べたのである。

不適切発言とは、川勝知事が県議会に諮っていない新たな文化施設の建設構想を外部懇親会で「詰めの段階」などと話してしまったことだ。「2025年6月まで川勝知事の居座りは決定事項…失言連発&リニア妨害なのに自民党が対抗馬を立てない理由」でも詳述している。

県議会の全会一致の決議は、川勝知事に不適切発言を速やかに訂正して反省することを求めたものだった。

そのような県議会の求めにもかかわらず、川勝知事はあくまでも「不適切発言」の訂正を拒否した上で、「県議会が決議に至った状況」に対して、「大変重く受け止めている」ので、「心よりお詫びする」と謝罪した。

知事のイスに固執する川勝知事の「権謀術数策」

摩訶不思議で何ともわかりにくい謝罪をした後、今回の「不適切発言」の端緒となった「三島市を拠点とする東アジア文化都市の発展的な継承センター(事業)を白紙にする」と宣言した。

つまり、火元となった発言すべてを撤回したことになる。

これで一件落着となるのかどうかは全くわからない。

「不適切発言」を認めることを拒否して、意にそわない不可解な謝罪をしたのは、「権力の座」に固執する川勝知事の“権謀術数策”だからである。

ただ川勝知事の思いもよらぬ奇抜な謝罪に、自民党県議団が12月県議会の会期中(21日閉会予定)に、知事辞職を求める政局に発展させるのかどうかはこれからである。