2月議会で建設表明の可能性
地元経済界の期待を受けて、大型ドーム球場にこだわる川勝知事は昨年2月16日の会見で、「(より詳細な需要予測が出る)来年の今ごろには基本計画を出せるようにしたい」と述べた。
このため、2月20日開会の静岡県議会2月定例会で、「大型ドーム球場」建設を表明する可能性が高いとみられている。
このような動きの中で、アカウミガメの保護活動を続けるNPO団体などが2月13日、静岡県庁を訪れ、川勝知事宛に約1万3000筆の署名を携えて、大型ドーム球場反対の要望を行った。
わざわざ多額の費用を掛けてドーム球場という照明の光が漏れない施設にするのに、アカウミガメにどんな影響があるのか?
球場の光に誘導されて死んでしまう
アカウミガメは、2億年以上も前から地球に生き続けてきた希少生物であり、絶滅の危機にさらされている。
13日に県庁を訪れた、30年以上もアカウミガメの保護保全を続けるサンクチュアリジャパンの馬塚丈司代表は「ドーム球場だからといって、すべての光が遮断されるわけではない。ドームの電飾光や周辺施設、駐車場、車の照明などの光が海岸に漏れ、子ガメに悪影響を与える」と、大型ドーム球場に「ノー」を突きつけた。
アカウミガメは人間の目に見える可視光線だけでなく、赤外線、紫外線、青色光、短波など人間の目には見えない光にも集まる習性がある。
特に、蛍光灯、水銀灯など紫外線を発する照明設備や、紫外線に近い短波長の光を発するLED(発光ダイオード)から受ける影響が高いという。
馬塚氏によると、「子ガメは夜間に生まれ、月の光に向かう」と思われているのは間違いであり、一日中時間に関係なく生まれ、日中に生まれた子ガメは太陽光の紫外線に導かれて海に入るという。
一方、夜に生まれた子ガメが海に向かわず、人工光の紫外線の強い内陸方面に向かうと、二度と海には帰れない。
また夜間、内陸の人工光の紫外線が強いと海にいる子ガメが方向感覚を失い、再上陸してしまうおそれもあるという。