IV.切り替える練習
原因Bを生む理由の1つである「切り替える力の不足」を克服するための練習であり、対処不能なことで悩みやすいタイプの人にお勧めしたい。
ここでの「切り替える」とは、過去のことや、すぐにはどうにもならない未来のことで悩むのでなく、「眼前のなすべきこと」に意識を集中させることをいう。たとえば「仕事でミスをして上司にひどく叱られた」場合、引きずり悩んでいても、何ら益はない。それよりも「次回からミスをしないよう、今から対策を立てよう」と考えるほうが建設的だし、負の感情からもいち早く解放されやすくなるのである。
V.捨てる練習
あれもこれもと目移りし、選ぶことができない人に必要な練習である。
しかし、「捨てる」こと自体のトレーニングというのは難しい。いくら練習をしても、リアルな状況に直面してみないと、本当に捨てられるか(選べるか)どうかは、わからないからだ。
1つの練習法は、世にあるトレードオフ、つまり「何かを選べば何かを失う可能性がある」を、できるだけ多く知っておくというものだ。たとえば「必死で働けば遊ぶ時間はなくなる」とか「転職をすれば今の安定性は失われる」といったことである。
「捨てる」とは「割り切る」ことでもある。「何かを選べば何かを失う可能性がある」という真理を割り切って受けとめることができれば、「捨てる」はそれほど悩みを誘う行為ではなくなる。そうした「割り切り」を自分の中につくるための練習である。