子供の前での夫婦喧嘩はOKだが…
子育てにおいては、両親の夫婦仲が円満であることがもちろん理想です。
とはいえ、夫婦喧嘩をしてはならないわけではありません。
喧嘩をしているとき、人間の前頭葉はめっぽう活性化しています。お互いに相手を論破しようと、さかんに思考力を働かせているからです。ですから両親が喧嘩をしても、そばで見ている子供にとっては「そうか、こう反論できるな」と学ぶ機会になると言えます。
ただし例外もあります。夫婦喧嘩のテーマが「子供のこと」であった場合、それは子供を非常に苦しめます。夫婦間で子育ての方針に違いがあっても、子供のいる前では争わないようにしましょう。
そのほかのことなら、隠れて争う必要はありません。さらに言えば、隠れて争うこと自体が、子供に悪影響を及ぼします。一番良くないのが、子供の前でだけ仲良しなふりをすることです。実は夫婦仲は冷え切っているのに、「子供のために」円満を装う夫婦がよくいますが、子供は動物的な勘で、不穏な空気を感じ取ります。
食卓についているとき、一見和やかな会話が交わされつつも、両親が決して目を合わせない……といったことに気づくと、子供は強い不安を感じます。そこに親の「ウソ」を感じ取り、不信感も持つでしょう。
そんなストレスを与えるくらいなら、「お母さんとは意見が合わないんだ」「お父さんとは考え方が違うの」と、きちんと伝えましょう。
もちろん子供は傷つくでしょう。しかしそれも「社会」を知る大事な学びです。家庭という社会の中でも「合わない人間関係」というものは発生しうる、ということをそのとき子供は知るのです。
「子供のために離婚しない」という選択はすべきでない
「子供のために」離婚しない、といったこともするべきではありません。一般の社会では、合わない会社ならば辞めて転職するのが自然ですね。誰かのためにその会社にい続ける、などということはないはずです。
誠実に経緯を伝えて、「お父さんとお母さんはもう一緒には暮らせないんだ」と伝え、子供の思いを受け止め、「ごめんね」と言いましょう。
辛いけれど、仕方のないことが世の中にはある。子供は心を痛めながらも、そのことを学ぶでしょう。