どれだけ努力しても老化は避けられない

老いの不如意も衰えも、受け入れて付き合っていくしかない。そう思えたら少しは楽になるのにと思います。あきらめの効用です。

久坂部羊『人はどう老いるのか』(講談社現代新書)
久坂部羊『人はどう老いるのか』(講談社現代新書)

あきらめるというのは、もともと「明らむ」、すなわち「つまびらかにする」とか「明らかにする」という意味で、仏教では「諦」という文字は「真理・道理」の意味があるそうです。あきらめきれないのは、状況を明らかにしていない、真理・道理に到達していないということで、だからイライラ、モヤモヤするのです。健康維持や老化予防の努力にも思わぬ罠が潜んでいます。

毎日、しっかり運動をして、酒、煙草もやらず、夜更かしもせず、栄養のバランスを考えて、刺激物を避け、肥満にも気をつけて、疲れも溜めず、健康診断や人間ドックも欠かさず、ストレスも溜めず、細心の注意で健康に気をつけていても、老化現象は起こります。がんや脳梗塞やパーキンソン病、あるいは認知症も、なるときはなります。そのとき冷静に受け止められるでしょうか。あんなに努力したのにと、よけいな嘆きを抱え込んでしまわないでしょうか。

もちろん、努力をすればリスクは下がります。しかし、ゼロにはなりません。そのことをしっかり認識しておかないと、努力しない人以上の苦しみに陥る危険があります。

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