むし歯予防成分「フッ素」をうまく取り入れよう

なお、歯周病ケアに特化したものではありませんが、歯みがき剤でよく見かける成分があります。

それは「フッ素」です。最近、日本口腔衛生学会など4学会が、フッ化物(フッ素)配合の推奨される利用方法の声明を出しました。

それは6歳から成人・高齢者においては、フッ化物濃度1400~1500PPMを配合した歯みがき剤を、歯ブラシ全体に1.5~2cm程度つけてみがきましょう、というものです。

2017年3月、「フッ化物配合の歯みがき剤」のフッ化物イオン濃度の上限が1000PPMから1500PPMに引き上げられたので、フッ素の含有量が多い歯みがき剤を選びたい人は、1400~1500PPMのものを選びましょう。

フッ素はむし歯の予防に効果がある成分です。もちろん歯周病が心配な年齢の人でもむし歯のリスクはあります。

むし歯も歯周病同様、プラークコントロールが何より大事ですが、有効成分を確認し、うまく活用しましょう。

洗口液は歯みがきの代わりにならない

マウスウォッシュ(洗口液)を使っている人も多いのではないでしょうか。口の中がスッキリするので効いているように感じるかもしれませんが、洗口液を使ったからといってオーラルケアの時短になるわけではありません。

使うのはもちろんかまいませんが、歯みがき剤と同様、あくまで補助的なものだと思ってください。

洗面所で1回分のマウスウォッシュを持つ人の手
写真=iStock.com/Susana Florez
※写真はイメージです

いろんな商品がありますが、アルコールが含まれているものは、口腔粘膜を乾燥させるリスクがあります。私たちとしては、洗口液を使うなら、ノンアルコールのタイプを選んでほしいと思っています。

洗口液は歯ブラシや歯間ブラシでオーラルケアをしても、わずかに口の中に残ってしまった歯周病菌に対して、ある程度効果が期待できます。

とはいえ、口の中にいる細菌(口腔内細菌)にも善玉菌と悪玉菌があります。

口臭が気になるのか、1日に何度も洗口液を使っている人がいますが、洗口液を頻繁に使っていると、口腔内に必要な常在菌まで排除してしまい、口腔内細菌のバランスを崩してしまうおそれがあります。

洗口液を使うなら、寝る前のオーラルケアの最後に、1回だけ使うくらいでよいでしょう。

オーラルケアは部屋の掃除と同じです。高性能の掃除機を買っても、毎日ちゃんと掃除をすればよいのですが、商品の性能にこだわるタイプの人は、案外たまにしか掃除していないかもしれません。

高い掃除機を買ったことで安心してしまうのでしょう。洗口液や歯みがき剤も同じです。

洗口液や歯周病の有効成分が入った歯みがき剤を使って、スッキリした気になっている人は、基本のオーラルケアがおろそかになっている可能性があります。

大事なのは歯ブラシや歯間ブラシを使ってプラークを除去すること。それを忘れないようにしてください。