47都道府県につくられた「旧制第一中学」は、現在はどんな学校になっているのか。『日本の高校ベスト100』(啓文社書房)などの著書がある評論家の八幡和郎さんは「2023年度の東大・京大合格者数をみてみると、47校のうち22校は現在でも地元トップに輝いている」という――。
放課後の誰もいない教室
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日本には各都道府県に名門高校がある

日本の初等中等教育は、世界トップクラスと言えるだろう。近代日本において、全国のどこで生まれても、地元の各都道府県に名門高校があり、良質な高校教育を受けることができることは、国力の源泉となってきた。

江戸時代の教育制度が、近代化の礎になったというのはまったくの俗説だ。江戸時代の学校制度は西洋と比べてもだが、中国のような「科挙」がなかったこともあり、お粗末だった。天保年間(1831~45年)になってようやく藩校が出そろったが、漢学の基礎を教えていただけで、上級武士以外が学べる中等教育機関はほとんどなかった。