少子化は国防の危機

結局、女性議員が増えないと何が起こるのか。女性国会議員が1割のままだと、この先どうなってしまうのか。それは少子化問題が一向に解決されないということに繋がります。

何となく「今の日本の不安材料は少子化だよね」ということは、多くの人が認識していると思いますが実際、少子化は不安材料どころか「国防の危機」なんです。

30年前は、これほど高齢化でもなかったし、少子化でもなかったし、低成長経済でもなかった。昔はこれだけの人がいて、これだけのことができた、という環境がありました。しかし今は人手不足で、昔できたことができなくなっています。

たとえば、2025年に開催される大阪万博の建設現場では、人手が足りなくて人件費が高騰し、予算建設費を大幅に上回るということが現実的に起きています。また国防についても、本来の危機的なときに前線に立つマンパワーが激減しています。あまり知られていませんが、自衛隊の士の階級の半分近くが約2年~3年を1任期として勤務する任期制自衛官になっているのも事実です。

少子化が国防の危機であるにもかかわらず、男性やいわゆる政策通といわれる人には、その深刻さが伝わっていないのです。

衆議院議員 野田聖子氏
撮影=小林久井
衆議院議員 野田聖子氏

少子化解決のカギを握っているのは女性で、男性ではない

日本の少子化というのは、戦争で人口が減ったわけではなく、端的に「子どもが産まれない」ということです。そこにフォーカスすると、やはりこの日本社会で女性が「子どもを産む」ことができない問題がどこかにある。その問題を探し出し、分析し、対応していかなくてはいけないのに、国政を担う人の9割が男性なので、なかなか対応できない。毎月生理があり、妊娠する可能性があり、更年期を迎える側の知見を有する女性は1割。マイノリティなので、重要なことが伝わりにくいのです。

少子化が、国防や経済産業に思い切りダメージを与えているにもかかわらず、いつまでたっても「女性がどうやったら赤ちゃんを産んでくれるかな」といっているのは、9割の男性がその問題意識を持てないからでしょう。問題意識を持っているのは女性なのに、リソースとしての女性の重要性が全く理解されていない。人口を増やし、国を成長させるには、女性議員を増やし、女性が生きやすい社会をつくることが必要なのに、この国ではそれが認識されていないのです。