相手の言葉を繰り返して想いを代弁する

では、このような適応課題のテーマについて、上司はどのように対話していけばよいでしょうか? ここで、すぐに「問題解決」を急ぐのではなく、部下の話をまず傾聴していく支援型の対応が大切になります。

傾聴の中でもアクティブ・リスニング(能動的傾聴)と呼ばれるものがあります。

相手の話をただ聞くのではなく、相手の話を反映して言葉で返していく聞き方です。もともとは、アメリカの臨床心理学者であるカール・ロジャーズが提唱した技法で、カウンセリングに用いられていました。その技法を元に、ビジネスで簡易的に活用できる形で2つのやり方をご紹介します。

① 繰り返し、反映、言い換え → 相手の話を整理する
② 気持ちや状態の反映 → 相手の状態に理解を示す

①相手の言葉を繰り返して②相手の心の中の想いを代弁していきます。つまり、相手の言わんとすることや相手の心の状態を、正確に描写して言葉で反映していくのです。「うんうん」「なるほど」だけではなく、「こういうことか。だとすると苦しいよね」というように能動的に相手の状態を返します。

上司側は部下の話を整理する中で気づきが生まれることもあります。そこに気づかずにすぐに解決に進もうとすると、上司も答えを見いだせずに苦しくなってしまい、話が「詰んで」しまいます。

このように、「頭ではわかっているけどそうできない」ような適応課題については、まずは相手の話を傾聴していくことが大切です。

あいまいな「感覚」を点数化して考えを整理する

このように、支援型上司はまず、問題解決を急がずに傾聴を用いて相手の話や状態の理解に努めます。さらに、相手に考えを深掘りしてもらい、思考を整理していく便利な手法があります。それが「スケーリング(測ること)」と呼ばれるコーチングで活用される手法です。自分の「感覚」のような定性的で曖昧な事柄を、定量的に測定していきます。

たとえば、

「今の自分のモチベーションは10点満点中何点か?」
「理想の状態を100%としたとき、今の自分は何%くらい力を発揮できているか?」

といった質問です。自分の奥深いところにある考えや感覚を、通常私たちは自分で整理、把握できていません。それをまずは定量化することで、自分の中にある考えや想いを探索しやすくして、言葉にすることを容易にさせるのです。