「また会いたい」と思われる人の秘密
会話の中で相手を立てていくと、「よいこと」がたくさん起きていくものです。
先の「7対3の法則」についてお伝えしたとき、お客様の話に共感する上司のエピソードについて触れました。「それはお困りですよね」「それは素晴らしい夢ですね」という上司の共感の言葉によって、寡黙な社長が驚くほど雄弁に変わっていったのです。
社長からたくさん話をしていただけたうえに、社長の悩みと夢をも把握することができました。大きな、得難いメリットを手にしたわけです。
「共感的理解」という言葉をご存知でしょうか。
心理カウンセラーがお客様(患者様)の話を聞くときに、自分もお客様と同じような感情で話を聞き、相手の気持ちを理解することを指す言葉だそうです。
悲しい話なら悲しそうに、相手が怒っているなら自分も怒りの気持ちになることで、相手の立場に立って寄り添うことができます。
つまり、これも相手を立てることのひとつなのです。
会話の中で共感的理解ができるようになると、相手から「もっとこの人に話を聞いてもらいたい」と思ってもらえます。
仕事でもプライベートでも、自分の話をまるで自分のことのように共感しながら聞いてくれる人には、「また会いたい」という気持ちが自然と湧くものです。
そういえば先の上司も、社長が暗い表情で悩みを話しているときは同じく困った顔で聞き、社長が明るい表情で夢を語り始めたら、笑顔で聞いていました。
意見が違っても、この一言を加えると嫌な感情を与えない
さて、相手を上手に立てる人がよく使う言葉に「おっしゃるとおりです」があります。皆さんも、テレビやラジオなどで、人気アナウンサーやコメンテーターの方々が使っているのを聞いたことがあるでしょう。
この「おっしゃるとおりです」は承認言葉です。「あなたの言っていることは、決して間違っていません」と承認しているのです。
承認することは、すなわち相手を立てることです。
たとえ自分の意見が違っていても、最初に「あなたの意見はわかりました」と承認をしてから自分の思いを伝えると、相手に嫌な感情を与えないですみます。
そこで有効なのが「承認」+「否定」のイエスノー方式です。
「○○さんのおっしゃるとおりです。でも私はこう思います」
「おっしゃるとおりですよね。確かにそう思います。だけど私の考えはこうです」
もし、初対面や面識の浅い人に対して、自分の考えを述べると角が立ちそうだと感じたら、「おっしゃるとおりだと思います」「確かにそうですね」とだけ言って相手を立てておきます。黙っているよりもはるかに、信頼関係を築けるでしょう。
共感も承認も、相手の思いや意見を尊重する姿勢が大切です。
共感言葉と承認言葉で相手を立てる。すると円満な関係を築けるので、相手は「また会いたい」「また話を聞いてもらいたい」と思ってくれるのです。