「お客様を主語にする」とは「7対3の法則」で聞き役に徹すること
上司は軽い雑談をした後で、営業先の社長に3つの質問をしました。
「今、一番困っていることは何ですか?」
「どんな会社にしていきたいですか?」
「社長の夢は?」
そして質問をした後は、相槌を打ちながら「それはお困りですよね」「それは素晴らしい夢ですね」と、共感の言葉を口にする以外は聞き役に徹していたのです。
上司曰く「お客様に7割話をしてもらうためには、自分が7割聞く姿勢でいることが大切。自分が話すのは3割までで十分なの」
話好きの上司がたった3割しか話さなかったことにも驚きましたが、さらに驚くべき事態が起きました。いつも寡黙で多くを語らなかった社長が、心を開いて会社の難題や夢について雄弁になっていったのです。
この日をきっかけに、私自身もお客様との会話で「7対3の法則」を意識し、実践するように変わりました。お客様が心を開いてたくさん話をしてくれることは、今後、素晴らしいご縁へと発展していくよい兆しといえるでしょう。
相手の話をたくさん引き出すためには、7対3の割合で聞き役に徹する。
これこそが「お客様を主語にする」ことの本当の意味だったのです。
お客様だけでなく、誰に対しても「7対3の法則」を心がけてみましょう。
相手を立てる心遣いで大切にしたい基本です。
返事がなくても気にせず「挨拶は自分から」を心がける
「おはようございます」
「こんにちは」
「よろしくお願いします」
自分から明るい挨拶ができる人は、相手に好印象を与えます。
「礼儀正しい人だな」という、いいイメージを持ってもらえるのです。
挨拶は相手に対する敬意を示す、最も初歩的なマナーであり礼儀です。
つまり、自分から先に挨拶することは、相手を立てるために必要な基本的な振る舞いなのです。
私がコミュニケーション研修を担当した、ある中小企業の取締役がこんなことを嘆いていました。
「挨拶をしない人が増えていてね。廊下ですれ違っても素知らぬ顔で通り過ぎる。こちらから声をかけて挨拶をしても、よくてお辞儀をする程度なんですよ……」
会社にとって極めてよくない傾向だと感じたこの取締役は、各部門の部長たちに確認してみました。すると予想どおり、部長たちも同じような危機感を抱いていたことがわかったのです。
そこで改善策として、部長たち自らが従業員に「おはよう」「おつかれさま」と声をかけて挨拶する取り組みを始めました。
しかし、挨拶を返してはくれるものの、従業員たちの表情は暗いままです。
社内の空気も、何かよどんでいるように感じたそうです。