私を変えた7つの習慣

振り返ると、この旅でこの時期が僕にとって一番辛くもあり、一番大切な日々だったのかもしれません。

さて、やると決めたら行動! です。まず、英語を喋らなくてもできることをやっていこうと考えました。そして、僕が自分のために日々書いていたプライベートの日記を取り出し、表紙に戻りそこに目立つようにこう書きました。

①挨拶を必ずすること。それも笑顔で!
②ほかのコーチが来る前に練習の準備を終えておく
③誰よりもたくさん道具を運ぶ
④時間のある限り球拾いを手伝う
⑤キャッチボールの相手がいない選手を見つけて、自分から声をかけて相手になる
⑥1日1度、少しだけでもいいから誰かに話しかける
⑦人の輪の中になるべくいるようにする

そして次の日からすぐに行動に移しました。するとある日の朝のコーチミーティングで、コーディネーターに突然「シンジ、昨日の働き良かったよ」と褒められました。自分のできる簡単なことをやっただけですが、褒められたことがすごく嬉しかった。嬉しいからもっと褒められたい、もっと貢献したいと思えました。

カタコトでもいい

僕は去年まで、褒めてくれたコーディネーターと同じような立場にいました。

「こんな風にちゃんと褒めることができていたかな」と振り返ってみると、全然できていなかったことにも気づきました。逆の立場になったときに、自分のやってきたことがすごく見えてきた。もしこの先またそういう立場になったら、この経験がすごく生きてくると思えました。

倉野信次『踏み出す一歩』(ブックダム)
倉野信次『踏み出す一歩』(ブックダム)

また、1日1回誰かに話しかけるようにしましたが、僕はもともと少し人見知りで、誰とでもすぐに打ち解けたり、はしゃいだりということができないタイプです。「そういう性格の人はいいなあ。本当に羨ましい」と思うことが多くありました。最近ではそういうことは少なくなっていたけれど、アメリカに来て言葉がうまく通じないこともあり、久しぶりに人見知りの自分が顔を出しました。

英語が話せないから、話しかけられるのも嫌。だから、ちょっと距離を置いている自分がいました。それをやめて、笑顔で挨拶する。一言でもいいから、会話が続かなくてもいいから、話しかける。やればできるのだと思います。カタコトの英語、ジェスチャー、翻訳機。自分が持っているものをすべて使って何とかすることはできます。